1. 交通事故
昨年度の統計によると、死者2万3000人、負傷者21万6000人以上。スピード違反、対向車線の逆走、交差点での違反が多く、事故の4分の1は車の歩道への侵入によるものだ。
広告の例:カリーニングラード州で背に羽をつけた守護天使が車道を歩いて安全運転を呼びかける。タタールスタン共和国のカザンでは、事故の犠牲者が包帯でグルグル巻きになって松葉づえをついて車道に出る。
広告コピー:「私が横断歩道を渡らなかった愚かな歩行者です」
23,000人
ロシアにおける交通事故死者(2012年)
70万人
ロシアのHIV感染者数 (エイズ対策センター)
31%
ロシアにおける喫煙者の割合(国家統計局)
2. 飲酒
飲酒に関するキャンペーンにお目にかかることはめったにないが、塀や鉄道沿いには「暴飲暴食は慎もう!」といった健康生活のアピールがやたらとある。
例:モスクワ都心にある12㍍大のビン(写真下=タス通信撮影)。その中にはメチャメチャに壊れた車が詰まっている。
コピー:「飲んだら運転するな」
3. ゴミ、環境汚染
飲料のビンや食品の包装などに使われるポリエチレンは極めて安価なので、ゴミの半分を占めている。
例:「ゴミには自分の家がある」編では、ビンや空き缶が擬人化され「ゴミ箱まで乗せていって」と書いたプラカードを持って立つ。
コピー:「ビン2本の家族がゴミ箱を借ります。清潔に暮らしますよ!」(写真左下=Photoxpress撮影)
写真提供:vse-ravno.net
4. 喫煙
喫煙を制限する法案に関する世間の議論をみると、喫煙習慣を恥ずべきものと思わない人も結構いるようだ。
例:サイトのクリップ。通りがかりの人に火を貸してくれというと、その人は、ライターを取り出す代わりに踊り出してこう言う。「やめちゃったよ」
コピー:「生活を変えよう」
5. エイズ
ロシア人の免疫不全ウイルス(HIV)感染者数は昨年末で70万人以上に達した。医師は感染者の多くが異性間の性交渉によるとみているが、人々は自分が高リスク集団に属しているとの認識がない。
例:立て看板とモスクワ市保健局のサイト
コピー:「行きずりのセックスは母体への脅威。安全なセックスなんてありません」
写真提供:spid.ru
トルストイも読書のすすめ=写真提供: slava.co.uk |
6. 読書離れ
昨年春、読書キャンペーンの映像がソーシャルネットワークで流行した。ロシア文学の文豪たちがスポーツウエアで登場するのだ。
例:レフ・トルストイがトレーニングウエア姿でボールを持ちながら言う。「500㌻も読めば、また元気が出てくるさ」
コピー:「本を読もう」
7. 孤児問題
ロシアの孤児が外国人養父母のもとで死亡する事件が起きると、国内で養父母を探せという声が強くなった。
例:教育科学省が養子縁組を呼びかけたクリップには、リバノフ大臣が3人の子供と登場する。そのうちの一人は養子だ。
コピー:「養父母になるのは幸せになるため」
8. 身体障害者
ロシアでは依然、身障者は就職などで差別され、身障者用のインフラも十分ではない。
例:社会団体が教育を擁護する一連のポスターを作っている。
コピー:「子供たちは一緒に学ぶべきだ」
ワルワラ・ソボレワ撮影
9. 少子化
出生率の低いロシアでは人口を維持、増やすために子だくさんの家庭が必要だ。
例:ビン底眼鏡をかけ、セーターを編んでいる男の子のポスター。
コピー:「ベビーシッターにすっかり似てしまった?」
写真提供:vse-ravno.net
10. 冷たい社会
人々が不機嫌な顔をしていて、困っている人がいても見て見ぬふりする人を見かけるようになった。
例:「大きい人」編のクリップ。画面が二つに分かれ、一方には死にかかった少女、もう一方にはやはり死にそうな大人の女性が映る。
コピー:「助ける人を選んでいいの?」