衝撃瞬間映像「ロシアの道路」

チェリャビンスク州で2月に隕石が落下し、チェリャビンスクという地名とともに、多くのロシア人ドライバーが車載カメラを持っていることも有名になった。ウラル地方ではなく、まるでハリウッドの撮影所に隕石が落下したかのごとく、さまざまな角度からたくさんのカメラにその瞬間をキャッチされた。なぜ、そんなに多くのドライバーが車載カメラを持っているかというと・・・。

交通事故、汚職警官対策として 

 車載カメラは車内前方に設置する小型カメラで、交通事故が発生した際にその状況証拠を残せることや、汚職警官に効果的に対抗できることなどから、ロシアでは非常に普及している。インターネットをのぞくと、すごい映像がわんさか出てくる。自分の車をへこませ、交通事故があったように見せかけて詐欺行為をしている人、保険金目当てに、走行している車に体当たりしてくる歩行者など、枚挙にいとまがない。

 「車載カメラの映像」で検索すると、交通事故、道路上でのケンカ、著しい交通違反、さらには航空機事故の映像がたくさんヒットする。また、公用車で違反行為をしている官僚の映像も見つかる。

 車載カメラは社会運動「青いバケツ」のメンバーにとっても重要な機器だ。官僚の公用車の屋根についている青い回転灯が、プラスチック製の青いバケツをひっくり返したように見えることから、このような名前になっている。「青いバケツ」は、公用車に道路上の特権を与える回転灯に反対している他、車載カメラを設置し、警察にひるむことなく違反映像を提示するよう、ドライバーに呼びかけている。

 

自分の武勇伝をアップロード 

 違反者自身も違反映像を投稿している。自分が道路で激しいカーチェイスをした映像を、「武勇伝」としてインターネットにアップロードするのだ。「ブラック・デビル」と名乗るユーザーは、モスクワの通りをスポーツバイクで高速走行し、車載カメラでその様子をすべて撮影した。

 動画投稿サイト「ユーチューブ(YouTube)」にアップロードされている、「ブラック・デビル」のグランド・セフト・オート(GTA)ゲーム風の動画には、数百万回もの閲覧がある。ポルシェ・カイエン・ターボ(Porsche Cayenne Turbo)に乗ったこともあるが、その走行スタイルは変わらなかった。渋滞した道路でのめちゃくちゃな車線変更、対向車線走行、赤信号無視、警察無視などが動画の基本要素になっている。

 

カメラ対抗法案を提出 

 「ブラック・デビル」こと、モスクワの学生ニコライ・ムスタフィンは、結局2月に逮捕された。最初は16日間の行政拘留のみだったが、警察が現在動画を解析しており、より厳しい罰則が適用される見込みだ。

 今年初め、オレンブルク州立法議会の動きが、世間を騒然とさせた。自動車のフロントガラスと前のドアガラス付近に、付属品を設置することを禁止する修正法案を、議員らがロシア下院(国家会議)に提出したのだ。罰則は罰金と違反物の押収だ。付属品が具体的に何を意味するかという説明書きが法案にないため、カーナビゲーション・システムや車載カメラを設置しているドライバーは混乱した。

 結局この法案は第一読会で否決され、意見聴取のために異なる委員会、また立法府や行政府の機関に送られた。今月再び下院で審議される予定だ。

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