=GettyImages/Fotobank撮影
海賊党とは、主にEU(欧州連合)諸国で活動を展開しつつある国際組織で、公式に政党として認められているのは12カ国だ。海賊党は、知的財産権のよりオープンな運用を目指し、たとえば、著作権については保護期間を5年間に短縮することを主張している。その一方で、インターネット上の個人のプライバシーの尊重を訴えている。ロシアでも、政党として公認されてはいないものの、ロシア海賊党が活動している。
そのロシア海賊党が、Piratehost.netという特別な海賊ドメインを立ち上げる計画であることを、スタニスラフ・シャキロフ副党首が自身のブログで伝えた。国と著作権保有がインターネットで規制を行おうとしていることに対する、対抗措置だという。また、禁止される情報が含まれるサイトのブラックリスト(ここに加わったリソースはブロック対象になる)が作成され始めた2012年11月から、禁止されるドメインのIPアドレスに属する、3300サイト以上が不法にリストアップされたという。
「禁止すべき情報は存在しない」
シャキロフ副党首は、ロシアを含む、さまざまな国の警察当局が監視しているプロジェクトに対して、ホスティング・サービスを提案している。著作権を侵害するような情報を含むリソースや、政治プロジェクトなどがサービス対象になる可能性がある。「国が隠ぺいしたい情報か、企業が自由な配信を嫌がる情報であって、禁止すべき情報というものは存在しないということだ」とシャキロフ副党首は表明している。それでも、一定のコンテンツはホスティング・サービスから排除するという。それはスパム、フィッシング・サイト、児童ポルノだ。
2013年1月半ばの通信監督局のデータによると、ブラックリストにのっているリソースは1680件あり、166件が実際にブロックされた。一方で、2012年11月初めから通信監督局にブロック要請があったサイトは、2万3300件を超える。
海賊党はこれがイデオロギー一色の活動ではなく、有料サービスのビジネスでもあることを明らかにしている。一方で、誰からサーバをレンタルするかや、誰が海賊党の活動資金を提供しているかについては明言していない。プロジェクトを「支援」しているのは、ロシア人と外国人であるということだけ伝えている。
「ブラックリストにはブラックリストで対抗」
シャキロフ副党首は、政府や官僚がこの海賊ドメインをブロックする可能性を考え、ロシア連邦通信・情報技術・マスコミ分野監督局や他の国家機関の正式なIPアドレスが、サイトにアクセスできないようにする計画を立てている。「監督局などの機関をあらかじめフィルタリングするようなサイトをつくり、そこにアクセスしたIPアドレスを追跡して、ブラックリストにのせる。あっちがブラックリストをつくるなら、こっちもつくるということだ」。
インターネット関連会社100社が加盟しているロシア電子通信協会のアナリスト、イリーナ・レヴォワ氏は、検索や情報の拡散を制限し、良質なリソースの通常業務にも支障をきたすような、極めて厳しい法案が次々とつくられているため、今回のような対抗措置は十分に予期できたと話す。また、海賊党のサービスはどの法律にも違反していないと考える。
「規制のネックは外国の著作権保有者の同意」
ロシア下院(国家会議)のセルゲイ・ジェレズニャク副議長は、違法なサービスが現れれば、国はそれを閉鎖し処罰するための措置を講ずることになると話す。また、このホスティングが他の国で違法となるようなコンテンツをアップロードすれば、まず欧米の警察当局から厳しい批判を受けることになるとみている。
その一方でジェレズニャク氏は、どこの国でも、ユーザーと警察当局のどちらも損害を被らないような、海賊問題の解決策を探る必要があるとし、ロシアだけでなく、外国の著作権保有の合意が必要となるのがこのような解決策の難しさで、世界のインターネットで共通の解決策が図られるのが理想的だという。
*元原稿
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