ソ連生まれのスマートハウス、スフィンクス・システム

テック
アレクサンドラ・グゼワ
こんな「未来的」なコンピュータはいかがだろうか?

 実はこれは、1986年にソ連で開発されたワークステーション「スフィンクス」なのである。ただのコンピュータではない。これは住宅設備の電化コンセプトであり、いわばソ連版「スマートハウス構想」だ。

 この試みは、音楽、TV、ビデオ、スライド、教育用プログラム、ゲーム、テキストなど、あらゆる情報をデジタル化し、1カ所にローカライズすることにあった。リモコンと音声による操作も構想された。

 より大きい画面では映画やテレビ放送を視聴でき、ワイヤレスの小さい画面は家の中や自動車に携帯できる。

 「スフィンクス」はあらゆる情報を記録可能な他、天候や気圧といった情報を提供してくれる。また、スマートウォッチの原型ともいうべき機能もあった。

 発注者は政府。正確には、ソビエト連邦科学・技術国家委員会であった。

 特定の技術的な目的があったわけではなく、シンプルに将来性のあるコンピュータの開発が求められた。そこでVNIITE(全ソ技術美学研究機関)の技術者たちが提示したモデルが、「スフィンクス」だった。

 残念ながら、VNIITEのその他のプロジェクトと同様、試作されたのみで、量産には至らなかった。

 こんなコンピュータ、自宅で使ってみたくはならないだろうか?