第二次世界大戦中、ソ連が苦境に陥った独ソ戦初期を除けば、戦闘は陣地戦の性格が強かった(塹壕を掘った前線でゆっくりと戦闘が行われ、軍は銃や大砲で防御した)。当時は数層の防衛線を破るために大砲や戦車、戦闘機を大量に使う必要があった。黒海やバルト海の沿岸部を攻略する際には海からの上陸部隊が使われた。空からの上陸部隊は大隊以下の部隊が主に破壊工作や敵の銃後の重要施設を短時間押さえるために使った。
戦争の主な目的は領土の奪取だった。その際、工業・農業インフラの被害は考慮に入れられなかった。軍人や非戦闘員の犠牲者の数も大した意味を持たなかった。重要なのは勝つことで、その代償は大きな問題ではなかった。
ソ連の戦い方の特徴は、パルチザンを使ったことだった。これは一方でソ連内の占領地におけるドイツ軍の通信や行政に弱点を作り出した。他方で大半がドイツの占領軍に対して否定的な態度を取っていたソ連の非戦闘員の犠牲を増大させた。
偵察は空中・海上から行われ、地上の監視システムも用いられた。敵の銃後への奇襲が活発に行われた。ソ連はパルチザン部隊を活用して偵察を行った。
軍の通信回線は敵の活動に対してかなり無防備だった。戦術上の主要な通信回線であった電話線は特に脆弱だった。
通信回線を作っている赤軍兵士、第二次世界大戦中
Vladimir Baranov/Sputnik第一次世界大戦で化学兵器が登場し、ロシアとドイツが衝突した東部戦線でも使用されたが、第二次世界大戦の独ソ戦では、両国に化学兵器の使用能力があったものの、どちらもその使用を控えた。
現代の戦争の傾向として、今では戦闘は機動大隊戦術群によって行われる。これには部隊間(例えば砲兵隊と戦車隊)の連携だけでなく、軍種間の緊密な連携が求められる。何よりも陸軍と空軍・防空システムの連携が重要だ。これを有しているのは現在ロシアと米国だけだ。戦術群は幅広い衛星通信回線を用いてリアルタイムで戦闘を行うことができる。
無人機Orlan-10を飛行させる兵士、沿海州にて
MOD Russia/Global Look Press現在偵察は大部分が衛星や飛行機、船から行われ、レーダーを使った地上からの偵察も行われている。偵察には無人航空機も広く使用されている。地上目標を攻撃する際には無人機がよく用いられるようになってきている。人的被害を減らすことを可能にするさまざまなロボット・システムの使用も広まりつつある。
現代の戦争は展開がかなり速く、動員戦力の使用が難しい。そのためロシアでは高度な戦闘準備を整えた部隊が作られた。この部隊は動員戦力なしで戦闘に使用される計画だ。
潜在的にはロシアや米国、中国、英国、フランスだけでなく、インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮も戦争で核兵器を使用し得る。化学兵器や細菌兵器を有する、あるいは直ちに製造できる国の数はさらに多い。
戦場での個人の装備も大きく変わった。今の装備には第二次世界大戦で使われていたヘルメット(現在はポリマー製)だけではなく、防弾チョッキ、暗視装置付きゴーグル、最新の衛星通信装置、さまざまな銃器が含まれる。これらの装備により、行動に際して大砲や航空機の援護を得るのが容易になる。2021年の今、快適な軍服と靴は軍人を悪天候からしっかり守ってくれる。
ロシア・ベラルーシの合同演習に参加した兵士
Evgeny Biyatov/Sputnikもし現代の特殊部隊が第二次世界大戦の戦場に行ったら、そのよく訓練された技術と兵器、装備で戦術的課題をよりうまく解決できるだろう。だが衛星通信やその他の現代の通信手段がないことを考えれば、自分たちの能力を十分に発揮することはできない。当時の軍の通信回線を利用するなら、(現在からすれば)不便で重い無線電話機を使わざるを得ない。砲兵隊の射撃精度や攻撃機・爆撃機の攻撃精度もそこまで高くなく、彼らの活動を支援するには不十分だろう。一方で防御性は高いため戦死する可能性はかなり低くなるだろう。
概して現代のロシアの特殊部隊が効果を発揮できるのは、現代の攻撃手段と衛星通信などの幅広い通信回路を持つ現代の軍においてである。
ウラジーミル・エフセエフ:CIS諸国研究所上海協力機構ユーラシア統合発展部長、工学博士候補。
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