新防空システムS-550について分かっていること

新防空システムS-500、アストラハン州

新防空システムS-500、アストラハン州

Ministry of Defence Press Service/TASS
 ロシアが謎に包まれた防空システムS-550を近く配備することを発表した。一体どのような兵器なのだろうか。

 11月9日、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相はウラジーミル・プーチン大統領が「防空システムS-350、S-500、S-550をロシア軍に配備する」必要性に言及したと述べた。つまりロシアは極秘の兵器を完成させ、間もなく配備するということだ。

 ショイグ氏の発表は世界に衝撃を与えた。現時点で軍司令部やS-550の開発者らはこの防空システムについて一切の詳細を明かしておらず、コメントも控えているからだ。

 

S-550について専門家はどう見ているか 

S-400とS-300のミサイル再装填車両22T6

 S-500は弾道ミサイルや超音速ミサイルを宇宙空間で迎撃できる新世代の防空システムだ。専門家の予想では、S-550はS-500の中型版であり、より廉価で、S-500とは別の戦術的課題に対応しているという。 

 さらに専門家は、S-550は性能面でもベースのS-500とは異なると考えている。特定の課題に対応し、一定の範囲の標的を迎撃できるよう改良されているという。S-500「プロメテーイ」は万能の長距離・高高度迎撃システムで、弾道ミサイルや巡航ミサイル、航空機などの飛翔体を迎撃できる。有効射程は半径約600キロメートルだ。軍への配備は数ヶ月前に始まった。

 「国家試験が完了し、このシステムの最初の配備が始まったところだ。アルマズ・アンテイ社が発注者の要望に応えてなすべきことは、これでまだ全部ではない」とユーリー・ボリソフ副首相は9月16日に話している。

 雑誌『祖国の軍備』のヴィクトル・ムラホフスキー編集長は、S-500とS-550の違いは、およそS-350とS-400の違いに相当すると考えている。

 「S-350とS-400の関係と比較することができる。これらは同時に開発されたが、異なる役割を持って作られた」と彼は言う。

 「S-350の方が安く、近距離の標的に対応している。S-400の方が高く、RC-135といった長距離偵察機や対地早期警戒管制機E-8、その他の早期警戒管制機、こちらを射程に捉える前の戦略爆撃機、その他の核兵器運搬手段を迎撃できる」とムラホフスキー氏は話す。 

 同様に、S-550は短距離用に開発された廉価版で、S-500は長距離・高高度の高価なシステムであるというわけだ。

 

ソビエト時代の「S-550」

 これまで「S-550」というコードネームの防空システムないしミサイル防衛システムが存在することは知られていなかった。「S-550」のコードネームを持つプロジェクトとして唯一知られているのは、1980年代末、ソビエト時代末期に存在していたものだ。これは弾道ミサイルなどを迎撃できる移動式防空システムとして開発が進められていた。

 しかしソ連崩壊直前の1988年、この防空システムの開発は中止された。この未完のプロジェクトと国防省が発表した新システムとの間に関係があるのか否かは不明だ。

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