ソ連が思い描いたファンタスティックな未来(写真特集)

テック
ニコライ・シェフチェンコ
 かつて思い描かれた未来の発明品には実現しなかったものも多いが、当時不可能と思われながら現実になったものもある。ソ連人が自分で考えた大胆かつファンタスティックなアイデアもあった。あなたも現在使っているかもしれない。

 『テフニカ・モロジョージ』はソ連の主要なSF雑誌だった。「若者の技術」を意味するこの雑誌には、ソ連や西側の作家の作品が掲載され、ソ連のSF界を牽引していた。

 例えば、英国のアーサー・C・クラークは、登場人物たちがソ連の反体制派活動家たちに因んだ名を持つ小説をこの雑誌に載せ、ソ連の出版界を騒がせたことがあった

 月に170万部売れていた雑誌は、SF小説以外にも、アカデミー会員や野心的な空想家が執筆した学術記事も掲載された。コロリョフやグルシュコ、カピッツァといった人物の名は、1933年の創刊以降、何度も登場した。

 雑誌の編集委員会と作家らが、我々の現在知る未来を正確に予言したかのようなアイデアやイラストを掲載することもよくあった。 

 例えば、1966年に出た号はアップルウォッチを予見していた。イラストでは、ソ連の人気テレビ番組「青い灯」が時計の画面を通して放送されている。

 1983年に掲載されたイラストには、2013年の映画『パシフィック・リム』に登場する人間が操るロボットに似た機械が描かれている。ハリウッドの戦争ロボットとは違い、ソ連の機械は森の木を伐採するためのものだった。

 雑誌の過去の号を見ると、現代の車のパノラマルーフは最近の発明品ではないようだ。ソ連の自動車ファンはこのデザインを遥か昔に考え出していた。下のイラストは1955年のものだ。

 すべてのイラストが正確な未来予想図というわけではなかった。既存のものから着想を得たものもあったが、他は概してソ連の読者に馴染みのないものだった。例えば、この鉄道システムはシカゴ・L高架鉄道システムに似ている。

 雑誌のアイデアの中には実現しなかったものもあった。例えば、崖を登るためのこのクモ状の乗り物は、既存のどんなものにも基づいていない。

 1977年の号では、翼の中に貨物を収容できる飛行機が2000年に登場すると予言されている。しかし、これも実現しなかった。

 このイラストでは、ソ連の技師がランボルギーニやフェラーリに似たスポーツカーを設計しているようだ。

 1975年、ソ連の作家らは電気自動車のアイデアに取り憑かれていたようだ。このイラストには、レールを必要としない電気車両が描かれている。

 高速大量輸送システムを提案するイーロン・マスクの「ハイパーループ」はこの号に起源を持つかもしれない。ここでは、磁場を使ってかつてない速度で走る鉄道車両(マグレブ)が予言されている。ソ連の夢想家たちの夢は、2021年に中国が上海でマグレブの商用利用を始めることを発表したことで現実に近付いた。

アーサー・C・クラークがソ連の有名雑誌に一杯食わせた話についてはこちら

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