ロシアの2つの新しい艦載防空システム

テック
イーゴリ・ロジン
 これらのミサイルシステムは、最新のミサイルや海面すれすれを飛んで艦船に接近してくる標的を迎撃できる。たとえ嵐の中であっても。

 2021年7月にサンクトペテルブルクで開催された国際海軍展示会MVMS-2021において東カザフスタン州のアルマズ・アンテイ・コンツェルンが初公開した対空ミサイルシステム「レスールス」は、艦船を攻撃しようとするあらゆる標的を一発のミサイルで迎撃できる。アルタイル科学技術センター(東カザフスタン州アルマズ・アンテイ・コンツェルンのアルマズNGOの一部)のセルゲイ・パヴロフ副所長が展示会の際に語った。

 同氏によれば、防空システム「レスールス」はコンパクトなモジュール式の構造と効率の良さの点でユニークだという。

 「システムはミサイルのために飛行課題を作成し、標的の辺りにミサイルを送る。ミサイルは自分で標的を探し、ロックオンし、破壊する。飛翔標的を正確に追跡できる性能を持つあらゆる艦載レーダーが、このミサイルシステムに標的破壊のための目標指示を与えることができる」とパヴロフ氏は言う。

 彼によれば、ロシア海軍のために開発されている「レスールス」は一連の試験すべてに合格し、課題に関わるすべての性能が確かめられた。現在対空ミサイルシステムは海軍のコルベット艦で試験運用されており、今後は海軍の主要な防空システムの一つとなる見込みだという。

 「『レスールス』は射程28キロメートルと射程10キロメートルの2種類のミサイルを備えている」と同氏は指摘する。

 また彼は、目標を迎撃可能な最低高度は5メートル、最高高度は20キロメートルであることを強調する。

 パヴロフ氏は、この艦対空ミサイルは最新の水上艦に搭載できるよう作られていると語る。

 ミサイルシステムは同時に最大5つの標的にミサイルを発射できる。ミサイルは垂直に発射され、一切分離しない。

 「レスールス」は艦船を守る最新の対空ミサイルシステムだ。しかし、アルマズ・アンテイ・コンツェルンは2019年にも別の艦載対空ミサイル砲システムを公開しており、こちらはすでにシリアのテロ組織「イスラム国」に対する実戦で試験運用されている。

艦載「パーンツィリ」 

 「パーンツィリME」は有名な地対空ミサイル砲システム「パーンツィリS1」の艦載版だ。

 これは海戦で敵のミサイルやその他の飛翔体を迎撃するためのミサイル砲システムで、雨や風、高波、嵐の中でも使える。

 コンパクトで、恒常的な水圧や錆びに耐えられるよう、表面に耐食加工がなされている。

 海上版と地上版の最大の違いは内部にある。海面すれすれを飛ぶ物体は水面の反射効果で防空システムに軌道を捉えられにくいが、海上版「パーンツィリ」はこうした飛翔体も迎撃できる。

 地上版と海上版のもう一つの違いは、射撃速度だ。地上版の射撃速度は最大で毎分4800発だが、海上版は毎分1万発近く発射できる。

 このシステムは、海面すれすれを飛ぶ標的を最大で4つ同時に迎撃できる。

 「両システムが共同で海上の大小の標的を迎撃することになる。『レスールス』はジェット機やミサイル、爆弾に対処し、『パーンツィリ』は『レスールス』が取りこぼした小さな飛翔体を狙う」と雑誌『アルセナル・オテチェストヴァ』(「祖国の軍備」)のヴィクトル・ムラホフスキー編集長は話す。

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