3月末、ロシア国家親衛隊が北極圏に行き、海賊にジャックされた貨物船から人質を救出する訓練を行った。
軍事演習の目的は、地上で最も寒い地域での戦術を試し、ロシアの施設と国益を守れるかどうか確認することだ。
例えば、現在ロシア国家親衛隊は、北極圏の原子力施設と、原子力設備を持つ7隻の船(ペヴェクにある初の浮体式原発を含む)、北極圏航路にある9つの国際港を守る任務を課されている。
演習は2段階で行われた。
第1段階のシナリオはこうだ。犯罪グループが原子力砕氷船に続いて入港したコンテナ船を襲撃する。テロリストないし海賊は、爆発物を含む貨物を盗もうとしている。
したがって、部隊は船を砲撃・銃撃するだけでなく、援護を受けながら乗船して密かに敵を一人ずつ倒さなければならない。
任務をいっそう複雑にしているのが人質の存在だ。人質は厳重に見張られ、腰に爆発物を付けられている。部隊はそれを取り除かねばならない。
部隊は2日間軍用スノーモービルに乗り、氷上で野営しなければならなかった。
第2段階では、特殊部隊員はスノーモービルやバギーに乗って2000キロメートル近く移動し、遠隔地の民間航空施設からテロリストの脅威を取り除くため、ディクソン空港に行かなければならない。
これらの演習はロシア連邦北極圏開発戦略の一部であり、2035年までの期間、国家の安全を保障することになっている。
任務の規模に合わせ、国家親衛隊の潜在力を常に向上させることが必要だ。2020年だけでも、国家親衛隊が守る北極圏の重要国家施設で700人以上の侵入者が発見されている。
2018年にムルマンスク州で行われた特別戦術演習「北極2018」では、国家親衛隊は連邦保安庁(FSB)や国防省の国境警備隊と共同で数多くの警護・戦闘任務をこなし、ゼムリャフランツァヨシファ(フランツ・ヨーゼフ諸島)での上陸作戦も行っている。