今年の夏、エクラノプランはカスピースクにある連邦保安庁(FSB)の国境基地からデルベントへと厳かに曳航されてきた。ダゲスタン共和国の「パトリオット」公園の中心的な展示物となる予定だ。
ただし、船は海岸にとどまることになった。
「エクラノプランは天然の砂浜のそばに腹を付けて横たわり、内部には水が溜まっている。移動の際に損壊したからだ。作業員が250トンの代物を巻上機とブルドーザーで引き上げようとするのはさらに滑稽だ」と有名ルーファーのヴィタリー・ラスカロフは話す。
エクラノプランは飛行機と船のハイブリッドで、空気をクッションにして水面すれすれを飛行する。
超低空を飛行することで、エクラノプランは、敵艦船のレーダー網より低く飛び、敵が6発のP-270モスキート・ミサイルの射程に入るまで気付かれることなく接近できる。
「ルーニ」の最高速度は時速450キロメートルだった。航続距離は2000キロメートルで、予備の燃料も合わせれば4000キロメートル飛行できた。エクラノプランは風浪階級5の嵐(波の高さ2.5㍍)の中でも水上で離着陸できた。
「ルーニ」は全長73.8㍍、全幅44㍍で、最大離陸重量は380トン(貨物がなければ243トン)だった。飛行機のように見えるが、底部はむしろ船に似ている。
ソ連崩壊後、エクラノプランの製造は中止され、「ルーニ」はカスピースクの工場の係船場に放置されることになった。