ロシアが軍装ラトニク用の外骨格を公開

テック
ニコライ・リトフキン
 この新しい外骨格は、追加で最大80キログラムの荷物を支えることができ、着用する兵士を映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』でトム・クルーズが演じたキャラクターのように見せる。

 ロモノーソフ記念モスクワ国立大学のロシア人技師らが、軍装ラトニク用の外骨格を作った。この新開発品はこの8月にモスクワ州で開かれた兵器展示会アルミヤ2020で公開された。

 

外骨格のバリエーション

 外骨格には2種類ある。受動タイプと半能動タイプだ。違いは、着用者の能力を高める機能の数に集約される。

 受動タイプは着用者の関節を強化するエンジンやモーターを搭載していない。この外骨格は都市部で最大100キログラムの重い荷物を背負って運ぶのに使われる。 

 半能動タイプもまた、背中の負担を和らげるために作られたが、膝や足の負担を軽減するために着用者の関節を補強する追加のエンジンを搭載している。田園地帯や山岳地帯で特に便利だ。

 これは、ハリウッドのSF映画に出てくるものに似た働きをする。例えば、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』でトム・クルーズが同じような外骨格を着用している。金属製の外骨格を着た彼は通常より速く走って高く跳ぶことができ、腕に取り付けられた火器を使うことができる。

 「現在、外骨格のエンジンが可能にするのは、より速く動き、難なく重い荷物を運ぶことだけだが、近い将来、ある種の火器が外骨格に加えられる可能性はある」とロモノーソフ記念モスクワ国立大学工学研究所のウラジーミル・ブタノフ研究室長は話す。

 

ラトニク軍装の外骨格には何ができるのか 

 ラトニク軍装用の外骨格の派生版は、半能動タイプだ。着用者の腰、臀部、膝、足を包み込むキットだ。この外骨格は着用者の筋肉と関節を怪我から守り、移動の安定性を高める。体力と持久力も向上させる。 

 「現実のシナリオを想像してみよう。食料やその他の荷物でいっぱいのカバンを持って10階まで上るのが難しいのは誰にでも分かる。兵士がライフルと60キログラムの荷物を持って山岳地帯を進むのがどれだけ大変か想像してみよう。この外骨格のテクノロジーで、こうした苦労は軽減される」とブタノフ氏は言う。 

 ブタノフ氏によれば、着用者は外骨格の上部に追加の補強部品を取り付け、防具を増やすことができる。これは都市部で活動する特殊部隊の防弾盾としても使い得る。

 「我々はそうした[追加の防御部品のついた]試作品を作った。これは受動タイプの外骨格で、着用者の身体能力は高めないが、身体の周囲を守る受動的な防具として機能する」とブタノフ氏は話す。

 彼によれば、このような外骨格は、多様な作戦や行動に合わせて作られており、今後数年でロシアのラトニク軍装とも統合できるという。 

 外骨格の開発はロモノーソフ記念モスクワ国立大学が主導しており、ブタノフ氏曰く、技師らは軍司令部のフィードバックを聞くのを楽しみにしている。

 軍司令部からの資金援助を受けていることを踏まえれば、モスクワ大学はあと二、三年で外骨格を完成させられると彼は考えている。しかし、ロシア兵がこの最新テクノロジーを着用するのはいつか、そもそも採用されるか否かはまだ分からない。