ロシアの最新海洋ロボット

Vitaly Ankov/Sputnik
 これらのロシアの無人機は、人々を救出したり、所有者に利益をもたらしたりする。

海中の研究者 

 5月初旬、ロシアのロボットが史上初めて大洋の底、すなわち太平洋のマリアナ海溝の最深部に到達した。ロボットの名称は「自律水中無人機」(水中ロボットの製造者らにマーケティングのセンスがないことは確かだ)、通称は「ヴィーチャシ-D」である。

 「ロシアのロボットは10028㍍の深さまで潜る。念のため言っておくと、これまでもマリアナ海溝の底まで探査機を潜らせた国は(日本や米国など)いくつかあるが、いずれも人工知能やロボット技術による自律性は持っていなかった」と軍事科学アカデミーのヴァジム・コジュリン教授はロシア・ビヨンドに話す。

 同氏によれば、これまでの探査機は生産国の乗員が潜水過程を逐一コントロールしていた。ロシアの探査機の場合は、宇宙へ最初の人間を送った時と同様、人々は固唾を呑んで見守るだけだ。

 ロシアのユーリー・ボリソフ副首相は、この出来事をロシアの防衛産業と科学の傑出した成果と呼び、「まさにこうしたプロジェクトの実現の上に軍産複合体の新たな科学開発エリートが成長するだろう」と強調している。 

 専門家の指摘では、「ヴィーチャシ-D」は海中の大陸棚の研究に必要不可欠で、将来的には海底の石油・ガス資源の開発に応用され、ロシアの企業だけでなく、外国企業にとっても利益となるという。

 彼によれば、今年末にも開発者らは民間モデルの発売時期を発表する予定だという。

海上の救助者

 ロシアの技師らは、人工知能を持ち、海難事故現場で溺れる人々を見つけ、救命いかだとして展開できる世界初の捜索・救助無人機を開発した。プロジェクトの名称は「アヴローラ」で、ロシア非常事態省の救助隊によって白海(北極海)ですでに運用されている。

 ラダールMMS社の開発者らの発表では、彼らの無人機は海洋上でその「技術的視野」を利用して遭難者を探す。無人機の人工知能には特別なニューロンとデータが組み込まれており、船の残骸が浮かぶ海上で人間を識別することができる。

 「アヴローラは、残骸の中に人を見つけるとそのもとへ向かい、救命いかだとして展開する。遭難者はそれに乗って救助隊を待つことができる。いかだにはセンサーがあり、周囲数十キロメートルにSOS信号と自分の座標を知らせることができる」と工学博士候補でラダールMMS社社長代行のイワン・アンツェフ氏はロシア・ビヨンドに話す。 

 無人機は小型の無人ヘリコプターで海難事故現場まで運ばれ、海上に投下される。ヘリコプターは市街地や海上のいかなる未舗装の場所にも離着陸できるよう作られている。この無人ヘリコプターもまたラダールMMS社の開発品であり、雨や霧の中でも自身の最新のレーダー装置を使って目標(遭難船や油田など)を発見できる。

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