国連と米国がイランに数多くの制裁を科して同国が外国から新しい軍事テクノロジーを購入することを制限しているため、イランの主要な兵器システムは旧式となっている。
だが、2020年代末までに国連の制裁は解除され、テヘランは最新テクノロジーで国防力を高めることができるようになる(もちろん制裁が延長されなければの話だ)。イランがソビエト時代に購入した兵器を今なお数多く運用していることを踏まえれば、ロシアはイランに対する主要な武器供給国となるだろう。
それでは、制裁が解除された場合に、ロシアがイランに提供することで合意しているのはどんな兵器だろうか。
Su-30SM
これは最も量産されたジェット戦闘機Su-30の第4++世代版だ。
その主要な特徴の一つが、空中戦でパイロットが敵のミサイルをかわすための高度な曲技飛行を行うことを可能にする操作性の高さだ。これは、曲技飛行に適した高性能な機体の設計と、最新のAL-31FPジェットエンジンの賜物である。
Su-30SMは、機体に搭載された無線電子機器「バルス」によって、曲技飛行中にミサイルを発射し、機体から最大100キロメートル離れた標的を破壊することができる。
Su-30SMは、ロシアのあらゆる最新かつ有望な高精度空対空・空対地誘導ミサイルを使用することができ、また途中で給油や着陸をすることなく、3000キロメートル連続飛行することができる。
K-300PバスチオンP
ロシアのバスチオン可動式防衛ミサイルシステムは、現代のあらゆる空母打撃群、戦艦、上陸用舟艇から沿岸部を守る手段となっている。
各砲兵隊は1台の指揮車、1台の支援車、4台の発射機から成る。発射機はP-800オーニクス・ミサイル2発を搭載している。P-800は爆発性の高い榴弾の詰まった250キログラムの弾頭を持つ超音速ミサイルだ。
これらのミサイルは、沿岸部から最大300キロメートル離れた目標を破壊できる。イランはペルシア湾とそこを往来するすべての船舶を守る防衛力を持つことになる。
バスチオン・ミサイルシステムは、3~5日間(戦闘任務支援車があれば最大30日間)待機状態を保つことができる。
S-400防空システム
これは世界に類を見ないロシア製防空システムの傑作だ。
S-400防空システムは、重要な軍事施設や政府機関を現代のあらゆる空からの脅威から守るために開発された。空からの脅威とは、ステルス技術で空に紛れ込んだジェット戦闘機や爆撃機、地表すれすれを超音速で飛翔する巡航ミサイル、成層圏から目標に向かって飛んで来る戦略弾道ミサイルなどだ。
S-400の射程は360度をカバーし(最大のライバルである米国製のMIM-104パトリオットは180度しかカバーできない)、あらゆる方向から飛んで来る目標を最大200キロメートル離れたところで迎撃できる。
ロシアの他の主要な防空システムと同様に、S-400は豪雨から激しい砂嵐まで、あらゆる天候で正常に作動する。しかも、第5世代ジェット戦闘機を百発百中で撃墜できる。