プーチン大統領に車を供給しているロシアの自動車メーカー「アウルス」が今年8月、モスクワの商業地区「モスクワ・シティ」に展示場を開設した。
ここには、同社の6年間に及ぶ研究開発の賜物であるアウルス・セナートが誇らしげに展示されている。これはロールスロイスやベントレーといったブランドが占める市場の間隙を埋めることを目指すプレミアム・セダンだ。
同社は、国営の自動車研究所NAMIが設計・製造している。この真新しい車は、プーチン大統領が2018年5月の大統領就任式でこの車を披露したことで、市場で大きな勢いを得るに至った。
それから一年を経た2019年8月から、同ブランドから出た第一号車、アウルス・セナートが一般公開されている。現在、ビジネスセンター「モスクワ・シティ」のIQクォーター・タワーにある同社の展示場に展示されている。
この高級車は全長5.63メートル、全幅2.2メートルと大型だ。動力は598馬力の4.4リットル・ガソリンエンジンである。追加の62馬力の電気エンジンが加速力を補強している。
メインエンジンは、ドイツのポルシェエンジニアリングと提携してロシア国内で開発されている。
しかし、まだ車の性能を試すことはできない。ロシアの公道を走らせることを国がまだ認可していないからだ。同社は2020年までに認可を得ることを約束している。それがアウルス・セナートが一般向けに発売されるタイミングだ。
アウルス・セナートの予告価格は、標準モデルで1800万ルーブル(27万ドル)だ。SUVとリムジン(プーチン大統領が使用している車)はより高価になると予想されているが、これらのモデルを現在展示場で見ることはできない。
「リムジンはセナートより一メートル長く、運転手と同乗者の間に仕切りが設けられている。座席も2つ多い。主に装甲リムジンとして製造されることになる」とアウルス展示場の責任者、アレクサンドル・ミハイロフ氏は話す。
リムジンとSUVの販売がいつ始まるのかは明らかでないが、セダンのアウルス・セナートは2020年に市場に登場する予定だとミハイロフ氏は言う。
同氏によると、現時点で500人の一般市民が、同車が認可され次第購入することを宣言している。だが、宣言は金銭的に拘束力を持つものではない。
アウルスの自動車は、かつてフォードの自動車を製造していたタタールスタン共和国のエラブガ・ソーラーズ工場で製造される予定だ。同工場が選ばれたのは、費用を節約するためである。一から新しい工場を作り直すことは、歴史の浅い自動車メーカーにとって財政的な負担が大きすぎるからだ。
アウルス(Aurus)の名は、ラテン語のaurum(「金」)とロシア(RUS)を掛け合わせたもので、多くの人が、これをロシアの自給自足のシンボルとして見ている。
*プーチン大統領のアウルスの動画を見るにはこちらをクリック。
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