最近までフラットスピンは、事故に直結する危険な状態だと考えられていた。ロシア政府発行紙「ロシア新聞(ロシースカヤ・ガゼータ)」が解説している。
技術的には、フラットスピンは、「きりもみ降下」(つまり、機体が螺旋を描きながらほぼ垂直に降下すること)の一種だ。きりもみ降下は、飛行機がまず失速して起きる。そのきりもみ降下の中でも、フラットスピンは最も危険かつ至難とされ、機体がほぼ水平で落ちていく。
きりもみ降下が危険なのは、方向舵が効かず、高度の急激に下がり、パイロットが方向性を見失うからだ。ちなみに、人類初の有人宇宙飛行を成し遂げたユーリー・ガガーリンは、搭乗した戦闘機「MiG-15UTI」の失速により、死亡している。
しかし、機動性に優れたジェット戦闘機の出現により、機体を制御しつつフラットスピンさせ、必要な地点でスピンから抜け出すことが可能になった。これにより、戦闘機の移動方向を即座に変えられるので、機動性がものを言う空中戦で大いに有利となる。
「フラットスピンは非常に面白い感触だ」と言うのは、ロシア航空宇宙軍の戦闘航空連隊長で、彼はSu-30SMで飛行している。
「これまで我々は、学校からも教官からも、きりもみ降下は、災難だ、事故だとずっと叩き込まれてきた。ところが今では、機体を制御できるしまた制御しなければならない状態だということになった」