ロシアのケメロヴォ市の当局が新顔認証システムの「お手並みを拝見」しようと決めたさい、犯罪者がこれほど早く見つかるとは予想していなかったという。地元のコンビニエンスストア数店に5台のカメラが設置されただけだったが、試験開始4日目にしてソフトウェアは指名手配中の強盗の容疑者を見つけ出したのだ。
ファインド・フェイス・セキュリティーは現在ロシアで唯一利用可能な顔認証技術だ。システムを開発したNtechLab社は、2018年ワールドカップですでに成果を挙げている。
街中やスタジアムに設置された計500台以上の監視カメラがファインド・フェイスに接続されていた。結果的に、約180人の指名手配犯の発見に成功した。モスクワ市のセルゲイ・ソビャーニン市長によれば、そのうち9人はメトロで捕捉されたという。
「ケメロヴォのケースは、限られた数のカメラとごくわずかな時間という条件下でも顔認証が社会やビジネスに利益をもたらし得ること実証している」とNtechLab社のミハイル・イワノフ社長は語る。「ファインド・フェイス・セキュリティーは、小さな対象にも複雑な対象にも有効だ。何十万台というカメラの映像をリアルタイムで処理できる。」
同社によれば、ファインド・フェイス・セキュリティーは、さまざまな顔を比較し、99パーセント以上の精度で人物を特定できるという。このソフトウェアによって、リアルタイムで高精度な顔認証が可能となる。指名手配されている人物のデータベースと顔認証の結果とを比較し、2秒足らずで警察に通報できる。
顔認証ソフトウェアが容疑者を特定する手段として信頼に値するのか否かについてはまだ議論の余地がある。アマゾンやマイクロソフトといった巨大テクノロジー企業が開発したものも含め、多くのシステムは実証性に疑問が残っている。例えば、白人以外の人の識別に苦労したり、あるいは単純に精度が悪かったりする。
2018年夏、アメリカ自由人権協会がアマゾンの認証システムを用いてさまざまな試験を行った。ソフトウェアに、米国議会の議員と、公開されている逮捕者の25000枚の写真から成るデータベースとを照合させたところ、システムは誤って28名の議員を犯罪者と同定した。
しかしNtechLab社は、自分たちの検証アルゴリズムが世界一だと自信を見せる。同社は合衆国国家情報長官室の後援で米国情報高等研究計画活動(IARPA)が主催したコンテストで一等賞を獲得している。