最近まで大半のロシア人の間では、アキモフ氏は農家と家庭をつなぐオンライン小売プロジェクトであるラフカラフカを立ち上げた人物として知られていた。しかし最近、彼は仮想通貨コミュニティーから基金を募ることを決めた。2月、野心的で環境に気を配る起業家はICO(イニシャル・コイン・オファリング)でおよそ1600万ドルを集めた。
それから間もなく、彼は自身の時間から週2日の労働時間16時間、つまり4年間で1200万秒の自分の時間をトークン化することを発表した。こうして彼はBorisAkimovというトークンを1200万個作り出した。1トークンにつき自分の時間1秒で買い戻せる。
アキモフ氏はこう話す。「私は確かな技術と知識、経験、そしてそれらを駆使してきた時間がある。トークンの所有者は、一定期間(期間は持っているトークンの数で決まる)この経験の利益を得られる。私の仕事が満足のいくものであればあるほど、私の技術や知識に対する需要が高まり、トークンの価値も高まる。(…)私自身の能力に対するこの“自由市場”アプローチは大変魅力的で、ブロックチェーンや仮想通貨の優れた長所の一つの表れと言える。」
Darkside.vcの設立者でモスクワに拠点を置く投資家アルカージー・モレイニス氏は、最近テレグラムの自身のチャンネルでアキモフ氏の考えを支持した。モレイニス氏は「我々はアイデアにではなく、人に投資するのだ。アイデアは変わるかもしれないが、人は変わらない」と話す。
しかしモレイニス氏によれば、多くのリスクもある。この計画の効能を確かめるため、投資家はトークン化された人のさまざまな銀行口座を含めた現金の動き、さまざまな企業の株式、管轄権などすべてを管理しなければならない。モレイニス氏は「配当金支払いの承認や債務不履行となった際の訴訟と支払い要求に関する手続きは単純にしておいたほうが良い」と言う。
仮想通貨コミュニティーの他のメンバーはより懐疑的だ。クリプシス・ホールディングの創設者アンドレイ・グラチョフ氏は次のように話す。「私が思うに、アキモフ氏は彼のメイン・プロジェクトである農園サービスに注意を向けようとしているだけだ。」
「トークン化がトレンドになり得るかと言えば、私はそう思わない。健康や教育といった人間生活の“効能”に関するデータをブロックチェーンで蓄積するのは効率的だが、個人の能力を対価にトークンを買うことは給料やフリーランスの賃金と何ら変わらない。」
Jury.Onlineのリーダー、アレクサンドル・シェフツォフ氏はロシア・ビヨンドの取材に対し、アキモフ氏のアイデアは馬鹿げていると話した。シェフツォフ氏は「彼がどうやって自分の時間を“勤め上げる”つもりなのか全く情報がない」と述べ、仮想通貨取引所がBorisAkimovトークンをリストに加えることはないだろうと付け加えた。
シェフツォフ氏は更に「経済のプロセスに対する理解が完全に欠如していると言って良い。自由な時間は、誰のものであれ無価値だ」と言う。彼が注意を促すように、世の中のあらゆるものと同様、時間は相対的な概念であって、絶対的なものではない。
BorisAkimovトークンは2月20日にWavesプラットフォームで流通し始めた。この記事の公開時点でロシアの企業家の一部分を購入している仮想通貨投資家は41人だけで、その総額は0.09ビットコイン(869ドル)だ。
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