カラチャイ・チェルケス共和国ゼレンチュクスキー地区ニジニー・アルフイス村、ロシア科学アカデミーの特別天体物理観測所の電波望遠鏡「RATAN-600」=
セルゲイ・ファデイチェフ撮影/タス通信ロシア連邦カラチャイ・チェルケス共和国ゼレンチュクスキー地区ニジニー・アルフイス村にある、ロシア科学アカデミーの特別天体物理観測所の電波望遠鏡「RATAN-600」は2015年5月15日、珍しい強さの信号を捉えた。波長2.7センチの信号は2秒続いた。この種の信号としては、非常に長い時間である。地球に最も近い月からの波長はこの7~12分の1である。
「望遠鏡で捉えられた信号の領域に衛星があるかどうかを、まず確認した。何もなかった。軍事設備からの干渉か、飛んでいた飛行機のものかもしれない。だが、研究中の恒星系からの信号の可能性もある」と、ニジニー・アルフイスの特別天体物理観測所科学情報部のエカチェリーナ・フィリッポワ部長はロシアNOWに話した。
HD164595恒星系は太陽系に類似している。地球からは95光年離れている。HD164595、特に組成が地球に似ているものの質量が地球の16倍の惑星「熱い海王星(Hot Neptune)」は、1年以上常時観察されている。
「地球外知的生命体探査(SETI)」の枠組みの中で活動する、ロシアの科学者も、欧米の科学者も、熱い海王星には生命体が存在しない可能性が高いと考えている。そのため、ロシア側はこの発見を重要とは考えず、最近になってようやく発表した。世界でこれほど反響があるとは思っていなかった。
発見した科学者は、信号が地球発である可能性の方が高いと考えている。「このような干渉は年に50件ほどある。別に変わったことじゃない。欧米で使われていない周波数でRATANの衛星は稼働しており、その周波数範囲で信号が検出された」と、電波を発見した特別天体物理観測所職員であるオレグ・ヴェルホダノフ物理・数学博士は話す。もう一つの可能性として、ヴェルホダノフ博士はいわゆる「ランダムノイズ」をあげる。この現象はここ2年、原因不明なバースト波が起こるたびに、科学界で議論されている。「バーストは、例えば、小惑星が中性子星にぶつかったりすると起こり得る。そうなると、このような種類の信号が生じる。私個人の(今回の信号についての)仮説リストの一番下にあるのは、地球外文明からの『こんにちは』」と、ヴェルホダノフ博士はロシアNOWに話した。
HD164595の方向から届いた信号の発見を、今月行われるSETI常任委員会の年次総会で主要議題の一つにしようという声もある。具体的に何について話し合われるのかは、今のところよくわからない。このような威力の信号を本当に発しているのなら、地球よりもはるかに発達した文明の存在を示唆する。
科学者によると、信号が地球に届くのは、地球方向に特別に向けられた場合のみだという。ちなみに、今回捉えられた11ギガヘルツの周波数は、ロシア軍にも属す。他の国の軍隊はこの周波数を使っていない。それでも科学者は希望を捨ててはいない。
「地球外文明を探してすでに50年以上。ロシアの電波望遠鏡は、そのクラスで世界最強であり、微弱な信号も見つけることができる」とフィリッポワ部長は話した。
ロシア・ビヨンドのニュースレター
の配信を申し込む
今週のベストストーリーを直接受信します。