ダリア・ケジナ撮影
宇宙服「オルランMKS」は、8~11日に開催されたエカテリンブルグ国際工業博覧会「インノプロム」で注目の的になった。このイベントには世界70ヶ国の企業が参加したが、このロシアの新製品の撮影を希望する人が多く、記録的な数の人がセルフィー(自撮り)を行った。撮影者は文字通り数えきれず、主催者によると、数千人にのぼったという。
国際宇宙ステーション(ISS)ロシア区画の主要コンポーネントおよび装置のサプライヤーである、ロシアのロケット・宇宙企業「エネルギヤ」の発注にもとづいて、オルランMKSは開発された。年末までに50のパラメータの試験が続く。不具合があった場合、また必要に応じて、すべてのデータが新しくなった液晶ディスプレイに表示される。
オルランMKSの製作を請け負ったロシアの大手航空機用機器開発・製造ホールディング「テフノディナミカ」は、傘下の科学製造会社「ズヴェズダ」の開発基地の試験所から直接宇宙服をインノプロムに運んできた。
テフノディナミカのマクシム・クジュク最高経営責任者(CEO)は、宇宙技術革新を紹介しながら、現時点でこれは「世界でもっとも完成された宇宙服」だと述べた。
オルランMKSには、外国製にはない独自の特徴が3点ある。
まず、世界初の自動温度調整システム。宇宙飛行士は船外活動を行っている間、体温のモニタリングや調整に気を取られなくて済むようになる。コンピュータが代わりに制御してくれる。このシステムは人間の体温を監視し、その人物にとって最適な条件をつくる。
「宇宙飛行士の状態を正確に読み取り、解釈しなおして冷却システムまたは加温システムに伝えることは非常に難しい。センサの正しい場所のアルゴリズムの開発は、世界の他の場所ではできていない」と開発者はロシアNOWに説明した。
万が一コンピュータシステムに不具合が発生した場合を考え、代わりの手動制御を備えており、信頼性を高めている。
次に、ゴムの代わりに使用しているポリウレタンの密閉レイヤー(耐久性が増し、軽くなる)。これによって宇宙服の船外活動回数を15回から20回まで増やし、耐用年数を4年から5年に伸ばすことが可能となる。
さらに、着やすさ。特別な構造になっているため、宇宙飛行士はこの宇宙服をわずか5~7分で、しかも人の手を借りずに自分で着ることができる。つい最近まで、既存の宇宙服を着るのに同僚の助けが必要だったし、また着るのに1時間ほどかかっていた。また、既存の宇宙服では損傷があった場合に圧力を30分しか保つことができなかったが、オルランMKSだと50分である。
現在、ISSでこのラインの宇宙服を着用しているのは、ロシアの宇宙飛行士のみだという。「宇宙技術は軍事技術に近く、時に機密度が軍事技術以上に高くなる。そのため、この分野の国際協力はかなり難しい問題」と「テフノディナミカ」の関係者は説明した。
試験に合格すれば、この宇宙服をもとに月用の宇宙服の開発計画にも着手できるかもしれないという。
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