頭部移植を希望するプログラマー

写真提供:ヴァレリー・スピリドノフ

写真提供:ヴァレリー・スピリドノフ

 あるニュースが先週、世界をかけめぐった。イタリアの神経外科医セルジオ・カナベーロ氏が、頭部を別の人体に移植する手術を行おうというのである。この手術を受けようとしているのが、ロシアのプログラマー、ヴァレリー・スピリドノフさん。スピリドノフさんにロシアNOWは取材を行い、この手術の驚きの事実を10項目にまとめた。

 カナベーロ医師が計画している、ドナーの体への頭部移植手術。主要な候補となっているのが、ウラジーミル市のプログラマーであるスピリドノフさん(30)。脊髄性筋萎縮症を患っており、車イスから離れられない生活を送っている。スピリドノフさんによると、せめて死ぬ前に新しい体を手に入れたいという思いで、大変な決意をしたのだという。

 1. スピリドノフさんは自分の体を選ぶことはできない。交通事故あるいは死刑が宣告された人の体が与えられるかもしれない。本人の唯一の願いは、男性の体である。

  「私の体より少し健康なだけで十分。残りについては、自分で運動をしたり、栄養をとったりして、必要な条件に整えることができる。体を選ぶなんて、今のところは過剰な贅沢」とスピリドノフさん。

 2. 移植手術の時間は36時間以上。このために、同時に100人の外科医の参加が必要になる。頭部を切り離して体につけるのには1時間もかからない。

 「計算では、患者は1ヶ月昏睡状態におかれる。この時間は組織の癒着に必要。その後、さらに1年ほどが理学療法とリハビリに必要」とスピリドノフさんは説明する。


 3. 手術が成功した場合、スピリドノフさんの子供は、ドナーの体から遺伝子を受け継ぐことができる。

  「子供については、ドナーの体の遺伝子になるが、これにはまだ研究が必要」とスピリドノフさん。

 4. 手術代は約1100万ドル(約13億2000万円)。

 今のところ、医師は必要な金額を集められていない。

 5. カナベーロ医師は、手術の候補者に対する具体的な要件を定めていない。

 「カナベーロ医師は患者の具体的な要件を示していないが、これ以外の方法がないほど重度の障がいを持った人でなければいけないことは確か。大変な運命にある人」とスピリドノフさん。

 6. スピリドノフさんとカナベーロ医師は会ったことはなく、いつもインターネット通話サービス「スカイプ」を介してやり取りしている。最初に会うのはアメリカでの会議になる予定。

 「私の方からカナベーロ医師に接触した。このような移植については以前から念入りに調べていたし、これまでのすべての試みを知っていた。そして、カナベーロ医師が脊髄の癒着という主な問題の解決策を見つけたと話しているインタビューを見た。私は自分の医学的詳細を特に送ったわけではないが、カナベーロ医師は診断をしっかりと当て、私と同じ年齢の人との共通性について言及していた。なので、わざわざ出向いて話をする必要は今のところない」とスピリドノフさん。

 7. カナベーロ医師は実験の結果に対する責任を負わないし、スピリドノフさんは医師に義務を課さない。
「カナベーロ医師は私の夢を実現しようとしているのだから、何かを強いることなんてできない。予後診断は今のところない。詳細の多くはアメリカの会議で発表されるから、そこで予後診断や期待についてわかるかもしれない。目的はもちろん、自分のすべての器官や手足へのコントロールを完全に取り戻すこと」とスピリドノフさん。

 8. 手術で主要な役割を担うのは「超鋭いメス」。これによって脊髄の切り離しが行われる。

 9. 頭部を新しい体の上で機能させるために、外科医はそれらがつながる神経細胞の軸索突起を結合させなければならない。これらは神経細胞の間で情報を伝達し、筋肉や腺に信号を送る。

 10. スピリドノフさんが翻意することはない。「このチャンスを逃したら、私の運命は望ましからぬものになる。私の状態は年々悪化している」とスピリドノフさんは話した。