写真提供:エカテリーナ・シュトゥーキナ/ロシア通信
ロシアとアメリカが新たな宇宙ステーション開発に取り組むことを、コマロフ長官が3月末に明らかにした。このプロジェクトには、現在のISSの参加者以外でも、関心があれば参加することができる。コマロフ長官は、特にBRICS諸国に重きを置いていると、ロシアNOWに伝えた。
アメリカ航空宇宙局(NASA)の本部の情報筋は、この件について交渉が行われていることを裏書したが、まだ露米双方は合意に至っていないと述べた。また、いくつかのフレーズを「全体のコンテキストから抜き出して」伝えているとして、ロシアのマスコミを非難した。
呉越同舟
予想外の新宇宙ステーション開発をコマロフ長官が明らかにしたのは、バイコヌール宇宙基地で行われた、アメリカ航空宇宙局(NASA)のチャールズ・ボールデン長官との共同会見の際。ちなみにバイコヌール宇宙基地からは最近、ISSに向けてプログレス補給船が打ち上げられている。両国の関係は宇宙的「ペレザグルースカ(再起動)」になっているようだ。
連邦宇宙局は先に、2020年以降、ISSには参加しないと表明。ロシアが独自の宇宙ステーションを開発するという噂が流れた。しかしながら、風向きが変わったようだ。NASAも想定していた通り、連邦宇宙局には2024年まで運用を継続する用意があるという。ISS運用延長に関する決定は2016年に行われると、コマロフ長官は強調した。
予算を最適化
宇宙分野で両国が突然近づいた理由は、科学プログラムを最適化させ、追加的な投資を得ることなくより多くの実験を行いたいという希望があるからだと、コマロフ長官。NASAはISSの実験への参加を企業に呼びかけることを提案しているという。「こちらもまた、ロシアの大手企業に何を提供できるのかを考えていく」とコマロフ長官。具体的には生物学、化学、冶金学、その他の分野の実験の可能性である。
最新のミッションにおいて、ISS参加国の協力はより密なものとなる。 「情報交換や、ロシアとアメリカが保有する設備の共同使用のメカニズムを定めることで、我々は合意した」とコマロフ長官。
ロシアにも、アメリカにも、自力で科学的大躍進を遂げるための資金が十分にない、と話すのは、マサチューセッツ工科大学のエドワード・クローリー教授。深宇宙開発プログラムや火星飛行は多額の資金を要し、回収も見込めない。「一緒であれば、はるかに多くの問題を解決できるし、予算への負担を軽減できる」とコマロフ長官。国際協力の発展や、小惑星の脅威を含む、地球にとっての共通の危険といった課題もある。
新しい国際宇宙ステーションとは
連邦宇宙局とNASAが開発しようとしている宇宙ステーションは、既存のISSを単に新しくするものではない。技術は日進月歩の勢いで進化しているし、連邦宇宙局の前にある課題ははるかに複雑である。「モジュールを複製して再現するのは無意味。将来的にはステーションの機能が変わり、したがってその構造も変わる」とコマロフ長官。ステーションは、月や他の遠い惑星に飛行するための中間拠点(ハブ)になるという。
現在、新しいステーションの利用の展望を、ISS参加国の関係者からなるグループが研究している。「共にステーションのアーキテクチャを決めて行く」とコマロフ長官。その際、ロシア側が今後開発するモジュールは、必要に応じて、独立した自国の軌道ステーション建造にも応用可能となる。
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