ヤマルにまたもや謎の巨大な穴

写真提供:北極圏海発センター

写真提供:北極圏海発センター

ロシア北部のヤマル半島で昨年夏、謎の巨大な穴が上空から発見され、また地元のトナカイ飼育者によって別の穴が発見されていたことが明らかとなり、インターネット上で話題となったが、新たに2つの穴の存在がロシアの研究者によって確認された。

 インターネット上で謎の穴が多数存在することを指摘する声もあるが、ロシアの研究者が認めようとしているのは2つの穴の発見のみである。

 「私が認めることができるのは新たな2つの穴のみで、それも、今のところ科学的に裏付けられたわけではない。写真から判断する限り、穴はこれまでとは少し違うようだからだ。1つ目の穴は半分ぐらい水で満たされている。2つ目の穴の壁も、昨年私たちが調査したものとは異なっている」と、ロシア科学アカデミー・シベリア支部地球雪氷圏研究所のマリーナ・レイブマン地質・鉱物学博士がロシアNOWに説明した。

 昨年夏、発見された穴の土壌サンプルを採取した研究者の1人だったのが、レイブマン博士。この穴はボヴァバネンコヴォ・ガス田から30キロメートルほどの地点に位置する。(ビデオを見る)

 「昨年採取した土壌サンプルには、予想をはるかにこえる量の氷が含まれていた。これは、例えば、穴の周辺に積もった土壌がなぜあれほど少なかったのか、残りの土壌はどこへ消えたのか、という疑問を解決した」と、レイブマン博士。

 「どのようなガスが土壌を吹き飛ばしたのかについて、今のところ明言することはできない。それを確認する手段をまだ考案していないため。ただ現時点で、ガスに起因する穴だということが、当方の唯一の説になっている」

 この説によれば、永久凍土層で蓄積した高圧ガスが土壌層を噴出させたことで、穴が出現したという。この説はさらなる調査を要する。穴の周辺に噴出した土壌の山ができていたこと、燃焼の痕跡がなかったことから、冷爆発だったと言える。

 ロシア科学アカデミー石油・ガス問題研究所のヴァシリー・ボゴヤヴレンスキー工学博士は、位置が確認できている穴は4つであるものの、実際にはもっとあると考えている。

 

永久凍土の劣化

 ボゴヤヴレンスキー博士によると、これらの“謎の穴”に類似した穴は、科学界の認識の範疇では、陸上には他になく、これは永久凍土の深刻な劣化を物語っているという。わかっているかぎり、類似した穴はこれまで、北極海の海底でしか見つかっていない。ただし、海底の穴はほとんど調査されていない。

 これらの海底には、1つの例外を除き、ヤマルの陸と同じ地質構造がありそうだ。例外とは、ヤマルの陸が厚い永久凍土層で覆われていること。極北の海にはすでに、永久凍土がほとんどない。

 「現代の北極の海底の大部分は、1万~1万5000年前、多年凍土層の陸であった。また、広い領域が厚い氷河で覆われていた。その一部はグリーンランドに残っている」と、ボゴヤヴレンスキー博士。

 「これまでに、バレンツ海とカラ海の氷期凍土の大部分が融解している。海岸付近など、凍土が残っている場所もある。カラ海に凍土はあるが、劣化が進んでいる」

 海底には数百、数千の窪地があるため、永久凍土のさらなる劣化は陸上の新たな穴の出現につながることを意味するかもしれない。

 

穴はどこにあるか

 もっとも大きな穴は、ボヴァバネンコヴォ・ガス田から30キロメートルほどの地点に位置している(70°26’17.00″N 68°19’27.00″E)。穴の直径は約40メートルであるが、徐々に拡大している。間接的な兆候から、穴は2014年春、または2013年秋に出現した可能性があるといえる。

 地元のトナカイ飼育者が昨年発見した2つ目の穴は、アンチパユタ村から90キロメートルの地点に位置している(69°9’56.22″N 74°34’14.87″E)。出現したのは2013年9月と推定される。

 同じく地元のトナカイ飼育者は、2012年4月の時点ですでに3つ目の穴(70°9’58.57″N 82°20’2.20″E)を発見していたが、広く知られるようになったのはつい最近のことである。2つ目と3つ目の穴の大きさは同じぐらいで、直径約15メートル。

 もう1つの新たな穴はボヴァバネンコヴォ・ガス田から10キロメートルに位置している。