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3Dセンサーつきモバイルを使って建物の3Dモデルを得ることのできるアプリ「GeoCV」のアイデアが生まれたのは、人が認識する世界とデジタル機器に映し出される世界の違いを開発者が認識した時のことだった。画像、レイアウト、3Dモデルでさえ、いまだに2Dスクリーンに表示されている。
モスクワ国立大学計算数学・人工頭脳工学部コンピュータ・グラフィックス実験室の卒業生で、GeoCVの最高経営責任者(CEO)を務めるアントン・ヤクベンコ氏は、世界的な3D革命が近いと考える。2015年には被写体の各点までの距離を計測する3Dセンサーが、スマートフォンやタブレットに装備されるようになる。そしてGeoCVは、これらの未来のモバイル用に、アプリを作成している。
「世界で当たり前になる」
GeoCVの主な目的は、写真のようにリアルなインテリアの3Dモデルを、特別な機器を使ったりすることなく、素早く、簡単に、安く、ユーザーに提供すること。
アパートやオフィスをスキャンし、3Dモデルをオンラインで入手できる。仮想空間はあらゆる角度から見ることができる。またあらゆる測定を遠隔的に行い、インテリアのデザインを測定することもできる。
「グーグル、アップル、サムスンのような大企業によって、誰もがポケットに3Dスキャナーを持つ。そして当社は、3D大量スキャンの部門で、カスペルスキーのアンチウイルスのようになりたいと考えている」とヤクベンコCEO。
まずは不動産分野で
GeoCVは現在、実践的課題に取り組んでいる。最初の潜在的な顧客と考えているのは不動産分野。具体的には不動産販売および賃貸のための3Dバーチャル・ツアーの部分。アプリケーション開発者が不動産業者にアンケートを実施したところ、回答者の70%が3D可視化に関心を示した。
保険会社にとっても、3Dドキュメントでの作業は写真や手書きよりも簡単である。インテリア・デザイナー、家具や建築資材の販売業者は、GeoCVのソリューションによって、部屋の測定を素早く実施することができる。また、設計および修復用に3Dモデルを使用することも可能。
GeoCVはアメリカを筆頭とした、世界市場に参入する予定を立てている。アメリカには販売、賃貸、保険、査定、修理、インテリア・デザインの対象となる建物が1億3000万棟ある。これらの建物の少なくとも500万棟に、GeoCVの3Dモデルを作成できればと考えている。
ヤクベンコCEOによると、バーチャル・ミュージアムやコンピュータ・ゲーム用の3Dコンテンツづくりから、ホームロボットのナビゲーションまでと、GeoCV技術の応用は幅広い。
3Dまでの長い道のり
今のところ、未完成なプロトタイプから完成版への移行プロセスの初期段階にある。1年後には試作版のテスト販売を行う計画。回収できるのは2016年末にかけて、と考えている。
ヤクベンコCEOがインスピレーションを受けているのは、リアルな環境でバーチャルな物体をつくるウェアラブル・デバイスの開発を行うスタートアップ「マジックリープ」の成功。グーグル社はこのプロジェクトに5億4200万ドル(約650億4000万円)投資した。
ヴァジム・スホムリノフ氏、「インテル」社戦略的事業開発マネージャ
現在、3Dスキャニング市場は成長している。専門的かつ高額な機器は消費者製品へと移行し、メーカーはすでに、タブレットやスマートフォンに3Dカメラを装備する計画を立てている。 3Dスキャニング、3Dオブジェクト操作、3Dプリンティングのアプリ開発者の人数も増加中。
インテリアのスキャニングにGeoCVアプリを利用することは十分可能。市場ではすでに、建物のスキャニング用の機械も出回っている。ただしそれらは高額で、特別な装置を必要とし、質の高いテクスチャに関する情報を常に送るわけではない。
GeoCVのソリューションはこの点において、フォトリアリスティックな質の3Dモデルを、機器およびサービスとしてお手頃価格で提供するため、世界市場では有望だ。
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