ロシア軍の契約軍人増加

アレクサンドル・クリャジェーフ/ロシア通信

アレクサンドル・クリャジェーフ/ロシア通信

ニコライ・パンコフ連邦国防次官兼秘書長は軍事部の会議で、ロシア連邦軍の契約兵の人数が、徴集兵・曹の人数を昨年初めて上回ったことを明らかにした。契約兵数は今後も増加していくが、契約システムに完全に切り替える意向は軍にはない。

 現在、契約兵は29万5000人、徴集兵・曹は27万3000人いる。セルゲイ・ショイグ国防相は昨年12月、次のように話していた。「ハイテクの兵器および軍事技術の導入にともない、契約軍人の数も増加している。現時点でその数は昨年よりも7万5000人多い、29万5000人に達している。選抜の質も改善された。入軍した者の64%は中等または高等専門教育を受けている」

混合軍の高い戦闘能力

 パンコフ次官によると、軍が徴兵制を廃止することはない。「国際的な軍構成の実績は、混合軍の戦闘能力がもっとも高いことを示している」と強調した。それでも徴集兵の人数は今後減少する。

 ロシア軍が徴集軍であるべきか、契約軍であるべきかという議論は、ソ連崩壊後ずっと行われてきた。

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名誉か辛い義務か

 ロシアの著名な軍事専門家であるアレクサンドル・フラムチヒン氏は、契約(雇用)軍を保有しているのが、外国の土壌で戦う準備をしている国であることに気づいた。自国でその主権と独立を守ろうとしている国が保有しているのは、徴集軍または徴集兵と契約兵の混合軍。

 確かに、いまだに徴兵制を廃止していない国を見ると、いかなる軍事同盟にも加わっていない国が中心である。それはスイス、イスラエル、フィンランド、スウェーデン、キプロス、オーストリアなど。ただし、北大西洋条約機構(NATO)のギリシャとトルコには徴兵制が残っている。両国の最近の紛争史を見れば、その理由は明らかだ。集団安全保障条約機構(CSTO)に加盟しているアルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ロシアにも、徴兵制は残っている。

 ロシアが混合軍を維持していくことが決まったのはかなり前だ。ウラジーミル・プーチン大統領、ショイグ国防相、ヴァレリー・ゲラシモフ参謀総長などの指導者が何度もこれについて話しており、具体的な数字まで挙げていた。2012年の大統領の指令では、2017年までにロシア軍が、少なくとも42万5000人の契約兵を保有するとされていた。その後新しい方針が示され、2020年までに50万人以上となった。

防衛のハイテク

 国の法律によって、ロシア軍の100万人の人員は承認されている。うち25万人が将校で、50万人が契約兵であることを考えると、徴集兵は25万人と少なめ。軍はただ健康状態の良好な若者を徴兵するのではなく、候補者の物理的、道徳・心理的なデータや、教育、技術能力のレベル、その他の基準に応じて、本当に必要な人員のみを選定することができるようになる。

 ショイグ国防相の言う通り、軍はハイテク化されており、深い知識とスキルが要求される軍事技術および武器の最新モデルが加わっている。緊急即応部隊に1年いてハイテクの専門職を習得するのは、非常に困難。そのため、軍は契約兵・曹の人数の増加に興味を持っているのである。

 パンコフ次官によると、2015年に5万5000人以上の契約兵を選定するという。これによってその人数は35万~35万5000人まで増える。これらの軍人はまず、特殊任務部隊、海軍歩兵隊、空挺部隊、下級幹部組織の軍務、戦略ロケット軍と航空宇宙防衛軍のハイテク兵器および軍事技術の使用に関連する任務につく。

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