ロシア通信撮影
アメリカ・ボストンのノースイースタン大学モブス・ラボが6日に発表した調査報告書によると、エボラ・ウイルスがロシアに10月に上陸する確率は1%。ちなみに、フランスの確率は75%である。モブス・ラボの予測モデルは、1日の旅客空輸や、地域、病院、墓地の拡散動態など、複数の要因にもとづいている。
モスクワのD.I.イワノフスキー・ウイルス学研究所ウイルス生態学実験所のエボラ出血熱専門家であるミハイル・シチェルカノフ氏は、「ウイルス蔓延のこのような位置付けは不可能」と考える。シチェルカノフ氏は、今年8月に初めてギニアに派遣された伝染病学者グループの一員であった。「ロシアを含むヨーロッパの国々にウイルスが侵入する可能性は、ゼロではないとしか言えない」
ウイルスの監視を行っているロシア連邦消費者権利擁護・福祉分野監督庁(消費者監督庁)のアンナ・ポポワ長官は、今年だけで西アフリカからのエボラ出血熱の侵入が疑われたケースが16件あったものの、どれも陰性だったと記者団に説明している。
ロシアでは、西アフリカから到着した118人が医師の監視下にあり、他の424人はすでに問題なしと判断されているという。
世界保健機関(WHO)のデータによると、今月9日の時点で西アフリカでのエボラ出血熱の感染者数は8034人、死者数は3866人。
疫学的防壁
モスクワのシェレメチエヴォ国際空港の広報部が明らかにしたところによると、今月10日の時点で「感染者はゼロ」。ロシアの国際便が乗り入れる空港には消費者監督庁の職員が常駐しており、必要に応じてシェレメチエヴォ国際空港は「患者隔離施設を提供可能」だという。
ロシア連邦保健省のオレグ・サラガイ報道官は9日、このように説明した。「アメリカやスペインのように、エボラ出血熱の侵入が1件でも発生すれば、感染病対策で豊富な実績のある衛生・伝染病学機関が活動し、その蔓延の可能性を取り除く」
シチェルカノフ氏はこう話す。「毎日約200件の外来ウイルスの国内侵入を発見、隔離できる細菌学安全システムがロシアで機能していることすら、国民は知らない。病院の主任医師すべてにエボラ対策は周知されており、一般の小児科医を含む他の病院職員すべてに連絡が行われている」。国の役人がいくら権威ある説明をしても、国民の疑念を完全に取り払うことは無理だという。「臨床症状も自覚もない時期の感染者が入国した場合に、いかなる体温センサーもその体内のウイルスを検知できないことを、留意しておく必要がある」
新学年開始時期を遅らせる
ロシア連邦教育・科学省は9日、アフリカからの留学生の新学年開始時期を遅らせることを大学に提案した。シチェルカノフ氏によると、「西アフリカの留学生が21日の検疫期間を終えていない」ことと関係ある。
社会学研究センターのデータによると、2012年にロシアの大学で学んだ留学生の人数はシエラレオネ21人、ギニア228人、ナイジェリア1300人ほど。
ギニアを支援
ギニアでは8月22日から、消費者監督庁研究所の専門家を含む、特別蔓延防止団が活動している。団員が使っているのは、WHOに認定されたロシアのエボラ・ウイルス診断システム。ポポワ長官によると、西アフリカには今後も専門家集団を派遣する。
社会問題を担当しているオリガ・ゴロジェツ副首相は9月、ロシアの医師が蔓延領域で、ロシア製のエボラ・ワクチンの体系的試験を行っていることを明らかにしていた。
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