月面基地、軌道管理人、火星ロケット

画像提供:Alamy/Legion Media

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この夏、ロシア連邦宇宙局(ロスコスモス)は数々の新しい野心的なプロジェクトを発表した。ロシアNOWは、最もエキサイティングなプロジェクトや高価なプロジェクトをまとめてみた。もちろん、将来これらのプロジェクトすべてが全面的に実現されるとは限らないが、もしそうだとしたら、これらは宇宙に永遠の革命をもたらすことになるかもしれない。

1.    リクイデーター:宇宙管理人員

 人間はまだ宇宙を征服していないが、宇宙を汚染することには既に成功した。米国の宇宙監視ネットワークによると、地球を周回する浮遊物体が16,200点以上存在し、これらは新しい宇宙船を破壊する可能性があるという。

 サンドラ・ブロックとジョージ・クルーニーが演じる2人の宇宙飛行士が、スペースシャトルの破壊後に宇宙で孤立するという映画『ゼロ・グラビティ』の筋書きが現実になる可能性は実在するのだ。

 8月にロスコスモスは、静止軌道上から使用済みの衛生や打ち上げ用上段ロケットを除去するための宇宙船を設計する計画を発表した。リクイデーター(「一掃するもの」の意)と呼ばれるこのプロジェクトは、約108億ルーブル(約300億円相当)の予算をかけて、2018~2025年の間に開発される予定だ。

 

2.    新たな宇宙船打ち上げ基地

 ロスコスモスは、宇宙船基地をサポートするためのインフラストラクチャに9000億ルーブ​​ル(約2兆5000億円)を費やす計画だ。この資金は、プレセツク宇宙基地を拡張する工事だけでなく、ボストーチヌイ宇宙基地の建設を完成させ、カザフスタンに拠点をおくバイコヌール宇宙基地を支援するためにも使用される。

 しかしロスコスモスは、経済的により実現可能な案も打ち出した。2020年までにカザフスタンとの係争が解決した場合、連邦宇宙局が要する出費はわずか8000億ルーブ​​ル(約2兆2200億円)となる。その場合、ロスコスモスはバイコヌールだけでなく、ロシア領内の宇宙基地も使用できることになる。つまり、1000億ルーブ​​ル(約2773億円)が余るので、ボストーチヌイ宇宙基地に使用できるようになるということだ。

 

3.    地球の遠隔測定

 地球の遠隔測定は、ロシアの宇宙産業が最も遅れている分野のひとつだ。国家プログラムが存在しないため、ロシアの科学者たちは海外の人工衛星からの情報に頼らざるを得ない。しかし連邦宇宙プログラム(FSP)は、2016年から2025年にかけての発展が見込まれている。これは、26機のハイテク衛星を3586億ルーブル(約9945億円)のコストで追加することにより、軌道周回する衛星群を拡大することを約束する、粘り強い楽観論者たちによって立ち上げられたものだ。

 FSPに含まれるさまざまなプロジェクトは(カッコ内は推定コスト)次のようなものだ。

 

メテオール SSO  

 太陽同期軌道上を周回する4機の新世代衛星によって構成される、グローバル水文気象学的および太陽系物理学的システム(660億ルーブル / 約1830億円)。

メテオール-Glob  

 可視帯および赤外線帯を用いたグローバル気象測定システム(869億ルーブル / 約2410億円)。

レスール  

 地球上の画像を高解像度および超高解像度で撮影するために設計された、3機の衛星により構成されるプログラム(550億ルーブル / 約1525億円)。

ES-SSO  

 局地的非常事態に対応する、司令監督宇宙システム。太陽同期軌道上を周回する10機の衛星によって構成される(1063億ルーブル / 約2950億円)。

ES-GSO  

 主要な非常事態に対応する、高度な司令監督宇宙システム。これは、静止軌道上で光学帯域およびレーダ帯域で機能する(443億ルーブル / 約1230億円)。

 

4.    月面基地

月の裏側を初めて飛行したのも、月の土壌のサンプルを初めて採取したのも、ロシアの宇宙船だったが、月面に人間を立たせることは一度もできなかった。

 ロスコスモスは現在、月探査にかなり重点的に取り組んでいる。連邦宇宙局は2018年から2025年にかけて、月面基地、移動型遠隔操縦クレーン、地ならし機、掘削機、ケーブル敷設機、月面探査ロボットなどの開発に2億8000万ドルを費やす予定だ。どうやらロスコスモスは、単に月面への訪問者になるだけでなく、常時の居住者になろうという思惑のようだ。

 

5.    月面探査車

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 月面車のない月面基地ではその目的を果たせないので、ロスコスモスは天然資源を探索する新たな探査車を開発中だ。地球には豊富な供給量が存在しないチタンやウランなどの希土類元素の成分が、月には大量にある。また、核融合の燃料となる潜在能力をもつヘリウム3も豊富である。このような月面車は月面探査車と呼ばれる。開発は2021年までに完了し、さらに4年間のテスト期間が続く見込みだ。

 

6.    火星への超大型ロケット

 2014年9月、120~150トン規模の容量を持つ超大型ロケットの計画が、ウラジーミル・プーチン大統領により仮承認された。このロケットはロスコスモスの企画中でも最も高額なものの一つで、その予算は現在運用されている宇宙船のアンガラ・ロケットの2倍である。このロケットの目標は火星に到達することだ。NASA は類似の設計のロケットを現在構築中だ。その予算は莫大になるため、このプロジェクトを提案するリスクは間違いなく高くなる。

 

7.    ブラックホール探査用のスペクトルRG

 2013年に、ロシアとドイツ共同の高エネルギー天体物理学観測衛星スペクトルRGの打ち上げ準備が整った。その目的は、eROSITAレントゲン望遠鏡で銀河星団やブラックホールを探索することにある。

 このアイデアは1980年代後半からあったが、このプロジェクトが再開されたのはようやく2005年になってからのことで、それには1億3500万ドルを要した。同プロジェクトが何回も保留されたのは、ドイツの望遠鏡の開発者によるたびたびの遅れのせいである。この天文衛星は2017年までに準備が整う見込みだ。