マンモスのクローン化に本腰

タス通信撮影

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「マンモス復元」プロジェクトの一環として、先史動物の細胞を研究するための分子古生物学共同活用センターが、サハ共和国に開設される。 世界で知られているマンモスの75%が、サハ共和国の地中で発見されているため、研究材料の不足は生じないはずだ。発見は毎年ある。センターに遺伝学研究設備がそろえば、DNAの採取とクローン化に着手できるようになる。

「マンモス復元プロジェクト」

 ヤクーツク市のM.K.アンモソフ北東連邦大学北部応用生態学研究所P.A.ラザレフ・マンモス博物館と、韓国のバイオテクノロジー研究基金「ソアム」は2012年、「マンモス復元」プロジェクトの枠組みでの協力に関する契約を結んだ。

 マンモス博物館のセミョン・グリゴリエフ館長によると、国際センターはサハ共和国と韓国の実験所として創設されるという。韓国側は数千万ドル規模の設備を購入した。北東連邦大学は、研究に必要な場所を改修し、提供した。ロシアでは研究者が何年も前からマンモスのDNAを研究しているが、韓国は昨年、クローン化方法の研究のため、自国の研究者を博物館に派遣した。

 ロシア北部で発見されるマンモスのすべてを研究または展示に使えるわけではないため、使えないものは発見者に渡される。しかしながら、大部分は研究者にとってクローン化のための貴重な遺伝子だ。

 ロシアの「ゲノテク」社のヴァレリー・イリインスキー科学部長はこう話す。「マンモスのクローン化には、保存状態の良い細胞が必要となる。生きているマンモスはいないため、標準的なクローン化用の細胞を見つけることが主な問題となる。プロセスは元の細胞から細胞核を取り出し、他の有機体の卵細胞の核の場所にそれを移植するもの。マンモスのクローン化の困難な点とは、細胞核が保存された細胞が少ない、あるいはないこと」

 

センターがあれば地元で対応可能に

 センター創設の目的は、クローン化プロセスの加速。研究者は材料を海外に送ることなく、国内でそのまま研究できるようになる。海外への遺伝子材料輸送には、困難な官僚的手順がともなう。

 マンモス復元の活動は、何年も前に始まっている。保存状態の悪くない小リャホフ・マンモスの材料は、すでに韓国の研究者に渡されているという。このマンモスの遺伝子の研究結果は、センターの開所式で発表される予定。

 今年721日から816日まで、サハ共和国北部で国際探検活動が行われた。昨年、川の近くでもう1頭のマンモスも発見されている。胴体の一部が調査されたものの、運搬には大きすぎたこと、行きにくい場所にあったことから、まだそのままになっている。研究者が持ち帰ったのは足と毛皮の部分。現在すでに700キログラム搬入されており、残りも今後運搬される予定。

 

なぜマンモス復元か

 マンモスはロシア人にとって一種のブランドである。国内には多数の骨が保存されており、住人によって発見されたマンモスの牙や骨は、モスクワ郊外の郷土博物館や、カフカス、シベリアなどで見ることができる。

 マンモスの遺伝子地図はすでに作成済み。データはアジアゾウの染色体と比較される。その後アジアゾウの染色体に変化を施し、生きたマンモスの染色体がつくられる。次の受胎のために、得られた材料は雌のゾウの卵細胞に移植される。

 実験が成功すれば、研究者はマンモスをシベリアに移住させる。だがロシアの科学界の一部関係者は、このアイデアを非現実的だと考えている。

 遺伝学者で、ロシア科学アカデミー一般遺伝学研究所のゲノミクス・バイオテクノロジー専門家のスヴェトラーナ・ボリンスカヤ氏はこう話す。「このような実験は世界でまだ実現されていない。バクテリアをクローン化したことはあったが、バクテリアはマンモスではない。科学の現在の発展段階では、このような困難な実験に対するコメントはどれも『技術的に実現不可能』。既存の技術ですべてを行うと、マンモスの生命に一致しない遺伝学的ミスがたくさん生じる」

 研究者はすでに数十年、先史動物のクローン化に関心を持っている。マンモスの復元には530年かかると試算されている。