「アンガラ」打ち上げ成功

ソ連崩壊後初の独自開発・純国産打ち上げロケット「アンガラ」が、無事発射された。これによってロシアの宇宙開発分野にどのような可能性が拓けてくるのだろうか。

打ち上げロケット「アンガラ」は、次世代モジュール型ロケット。「アンガラ」シリーズには軽量級から重量級まであり、その積載量は3.8トンから35トン。どのロケットも一つの発射装置から打ち上げ可能。どのユニバーサル・モジュールにも液体ジェット・エンジン「RD-191」1機が搭載されている。

 ソ連崩壊後のロシアで設計された初の環境に優しい打ち上げロケット「アンガラ1.2PP」が9日、アルハンゲリスク州のプレセツク宇宙基地から発射された。第1段は予定通り、バレンツ海上空で発射の4分後に分離。第2段の積載模型は発射の21分後に、発射場所から5700キロメートル離れたカムチャツカ半島の「クラ」演習場に着地した。

 発射は当初、6月25日に予定されていたが、追加的な点検のために6月28日に延期された。だが6月28日には自動システムが発射の19秒前に発射を阻止した。ウラジーミル・プーチン大統領はこの時、テレビ中継を通じて個人的に発射状況を監視。発生した事象の原因を調査するよう命令した。そして発射は無期延期となっていた。

ビデオ提供:TV「ズヴェズダー」

 発射しなかった理由は、エンジンとは無関係のバルブの一つに排出の非気密性が発見されたこと。ロシア連邦宇宙局は宇宙基地でアンガラを修理し、7月9日16時02分(モスクワ時間)、発射が実施された。

 

独立していて環境に優しい

 ロケットの構造の差は、第1段が構成されるユニバーサル・ロケット・モジュール(URM)の数。今回発射されたロケットは中間的なタイプで、第1段と第2段の作動を調べることができる。ロケットは軽い構造で組み立てられているにもかかわらず、第2段は重量級から採用されているためだ。

 重量級の「アンガラ」には将来的に、水素で作動する第3段が装備され、より重い積載物を運び出すことができるようになる。重量級「アンガラ」の初の有人飛行は、ロシア極東アムール州の新しいボストチヌイ宇宙基地から2018年に行われる予定。

 新級ロケットを使い、宇宙空間へのロシアの独立飛行が可能となる。バイコヌール宇宙基地のあるカザフスタンの合意を得ずに、近地球軌道や静止軌道にあらゆる種類の衛星を投入することができる。

 「アンガラ」の利用によって、環境指標も著しく向上できる。打ち上げロケット「プロトン」の燃料には環境に有害なヘプチルが使用されているが、「アンガラ」にはほとんど無害な「ケロシン・酸素」のペアが使用されている。

 

宇宙開発の成功を目指して

 K.E.ツィオルコフスキー・ロシア宇宙航行アカデミーの通信会員であるアンドレイ・イオニン氏は、非商業的な「アンガラ」シリーズの建造と同時に、より安価な重量級ロケットの建造も始めなければならないと考える。

 「プレセツク宇宙基地のアンガラは商業的に利用されない。これをしっかりと理解する必要がある。アンガラの課題とは、国家予算で建造される連邦の衛星を軌道に投入すること。商業飛行市場を逃さないためには、発射費用約1億ドル(約100億円)のプロトンの打ち上げを続け、発射費用約5000万ドル(約50億円)のロケットを建造する必要がある。この部門をスペースXに独占されないように」

 「アンガラ」ロケットの打ち上げ成功は国防省にも無関係ではないと、K.E.ツィオルコフスキー・ロシア宇宙航行アカデミーの会員であるイーゴリ・マリニン氏は話す。

 

*ロシア通信、ガゼータ・ル、タス通信参照記事