ダリア・ゴンサレス撮影
グーグルグラスの正式な販売が許可されている国のリストに、ロシアは入っていない。だが海外を行き来する人にとって、入手は難しいことではない。ロシアの新興IT企業「ヒント・ソリューションズ」のイーゴリ・バリノフ最高経営責任者はこう話す。「アメリカで開発者登録をして、グーグルグラスを買った。入手はそんなに難しい課題ではなく、標準書類と守秘義務契約書に署名をするだけで済んだ」
FSBにとっては”スパイ”眼鏡?
グーグルグラスがロシア連邦法で潜在的なスパイ道具と見なされている、との情報が広まっていたことから、ロシアのユーザーは公の場で使うことをためらっていた。だがロシア連邦保安庁(FSB)は昨年10月、ロシアのブロガーが伝えていたこの情報を、正式に否定した。
ロシアのネットショップにグーグルグラスが現れたのは、アメリカの特別ユーザー・プログラムにもとづいて選ばれた販売開始時期のすぐ後だ。ロシアの販売業者は、アメリカで社会保障番号(SSN)を保有し、グーグル・プログラムへの参加申請を行った知り合いから、調達しているようだ。だがこの情報を確認することはできなかった。ロシアのネットショップでのグーグルグラスの販売価格は、当初の1万ドル(約100万円)から2100ドル(約21万円)まで下落。グーグルはこの間、1500ドル(約15万円)ほどで販売していた。ロシアの民間貼紙サイト(オークションサイト)「アヴィト・ル」では、グーグルグラスの仮想行列の番号券を買うこともできていた。
グーグルグラスを販売している大手ネットショップの所有者はこう話す。「グーグルグラスは高額商品であるため、まとめて購入するのは得策ではない。事前予約をとって取り引きする方が簡単」
グーグルグラスで知り合いに
ロシアNOWが話をすることのできた国内のグーグルグラス保持者の誰もが、今はロシアのユーザー向けではないと話す。インターフェースやアプリ、音声操作が、英語のみであるため。検索システムだけでなく、地図上の位置や連絡先の検索も、ロシア語での音声操作は今のところ不可能だ。
こうなると用途は少し変わってくる。まずは、撮影と瞬時のSNSへの掲載、メール、SNS、メッセンジャーの瞬時の閲覧など。
また交流の重要なツールにもなりつつある。イーゴリ・バリノフさんはこう話す。「グーグルグラスで新しい知り合いができる。最初は皆ただグーグルグラスに興味を示すだけだけど、試しに使わせて、使い方を教えると、必要な人物と知り合うことがすごく簡単になることがわかる」
グーグルグラスのユーザーである、ロシアの民間新事業支援企業「デジタル・オクトーバー」のテクニカル・エバンジェリスト(技術伝道者)、グリゴリー・ペトロフ氏はこう語る。「グーグルグラスで未来をのぞいてみたい。これは専門会議のどこででも大きな注目を集めている」。ペトロフ氏は現在、グーグルグラスに関する特別なイベント以外では、これをかけないようにしている。地下鉄や通りでかけるのはおかしな感じがするからだ。
今のところマニアのおもちゃだが
ロシアのポータルサイト「メール・ル」の「ハイテク」部門の編集者であるアレクサンドル・バウリン氏はこう説明する。「これは未来から来た装置というだけでなく、未来を目指す装置。これからもっとポテンシャルを発揮する」。現在グーグルグラスはナビゲーション、写真、動画でより機能的だが、ロシアでライセンスが取得され、ローカライズされれば、フルに能力を発揮するという。
取材したユーザーの誰もが、現在は日常生活に欠かせない装置というよりも、技術マニアのおもちゃのようなものだと話している。グーグル自体は、この製品が試作品であることを否定していない。
バウリン氏は、装置自体(電池の持続時間の拡大、効果的な冷却システムの登場、画面の改善)だけでなく、プログラムの充実などの変化が、今後のグーグルグラスに起こると考えている。特に、グーグルグラスの新たなプランや拡大プランを生む、アプリケーション・ライブラリの拡大があるという。
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