沿海州でこの2週間に3度、人間の集落にクマが出没したというのは異常な現象だ =Alamy/Legion Media撮影
沿海州の集落でクマが人を襲った事件は、最近の休日で2件記録されている。
うち1件では、チュグエフカ村の年金生活者の女性が1人死亡した。また数週間前にナホトカ警察署は、市内に出没して住民を脅かしたクマを路上で射殺した。
「ナホトカの事件は別の2件とは無関係だ。そのクマは小熊で、生まれた境遇も場所も今なお不明だから。飼い馴らされたクマのしぐさを見せたので、ひょっと したら、どこかの檻から逃げ出したクマかもしれない。チュグエフカ村の件は、異常なケースだ」と生態学者のアラミレフ氏は言う。
危険なクマ猟は不人気
アラミレフ氏によれば、ここ数年、沿海州のクマの頭数は目立って増えているとのこと。この地域でもロシア全体でも、クマの狩猟はあまり人気がないせいだ。クマの狩猟は非常に危険で、リスクをともなう特殊な仕事だし、クマの肉は、有蹄類の肉ほど美味くない。
「したがってクマの増加こそ、人間集落にクマが現れる原因かもしれない。だがそうは言っても、これはクマだけに見られる現象ではない。クマは、森の中に大 量にある植物を食べることもある。頭数の増加のせいで食糧不足になっているのかもしれないが、それだけではない」と生態学者アラミレフ氏は言う。
同氏によれば、クマに襲われた地区に専門家グループが調査に出かけ、その中間報告では、チュグエフカ村とサマルカ村で、それぞれ異なるクマが年金生活者の女性らを襲ったとのこと。
チュグエフカ村にいたのは、1歳くらいの若いクマだ。
村の周囲を母親グマが子グマをつれて歩いていたとの情報もある。そこでもし母親グマが殺されたら、子グマはひとり残されて、普段と違った行動に出ることも十分にありうる。
「一度襲ったら危険な存在になる」
「秋の始まりは、蜂の採蜜期の終り。蜂の巣箱は、村はずれや、時には菜園の中に設置することも多い。おそらく蜂蜜が若いクマを引き寄せたのだろう。今、生 じた事件の状況と、襲撃の原因をつきとめることが重要だ。サマルカ村の件は、まだ解明されていない。今そこで専門委員会が作業している」とアラミレフ氏は 述べた。
アラミレフ氏は、クマは、捕獲された場合は射殺されると語った。「クマは一度人を襲ったら、またそれを繰り返すかもしれない。クマは、人間はクマよりも弱 いと感じた瞬間にから危険な存在になる。自然に生息する数頭のクマを射殺しても、クマの個体数(個体群)を傷つけることにはならない。クマ集団は変わるこ となく繁殖してきたのだ」とアラミレフ氏は言った。
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