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ナノ構造の研究には従来から、鋭い探針でサンプルを”なぞる”、走査型顕微鏡が使用されている。だがこの方法では2D画像しか得られず、立体的な構造の サンプルを研究できない。革新的技術特区「スコルコボ」の入居者である「スノトラ」社のアントン・エフィモフ社長は、サンプルを極めて薄い層に切断し、それぞれを個別に走査しながら、この問題を克服する手段を発見した。得られたデータで、物体の立体構造について知ることができる。
「スノトラ」社が国立原子力研究大学「MIFI」ナノバイオエンジニアリング実験所の研究者とともに開発した装置は、サンプルを切断するだけでなく、サンプルの光の反射あるいは吸収によって成分を割り出しながら、層の分光分析を行う。
各細胞への薬剤の広がりを“見る”
開発者のひとりである、ナノバイオエンジニアリング実験所のコンスタンチン・モチャロフ氏はこう話す。
「ナノスケールの解像度を持つ3D顕微鏡と、質の高いサンプル分析が可能な顕微分光法をひとつにした装置を製作した。これにより、立体的なナノ物質の構造、成分、特徴などを存分に研究することができ る」。
同実験所のイーゴリ・ナビエフ所長は、ナノ物質や薬の生産管理、診断、治療結果の監視などで、この技術のニーズが高まると自信を持つ。生きた細胞の切断面を研究し、薬剤分子がどのようにその中で分布するかを”見る”ことも可能だ。
顕微鏡は今のところ、装置として一体化されておらず、個別のユニットになっている。したがって次の課題は一体化で、その後は生産に興味を持つ会社を見つけることだという。
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