浮体式原子力発電所「アカデミック・ロモノーソフ」が、2016年に完成する予定だ =タス通信
浮体式原発の建造は2007年、セヴェロドヴィンスク市にある「セヴマシュ」工場で始められたが、その2年後にはサンクトペテルブルク市の「バルト工 場」に移送された。浮体式原発の発電ユニット建設については、バルト工場と国営原子力企業「ロスアトム」傘下の「ロスエネルゴアトム」が、2012年12 月に合意していた。
カムチャツカ、チュクチ、サハのいずれかに設置
船の完成した骨組みにはすでに、原子炉などの設備が設置されている。排水量2万1500トンのこの船のメンテナンスには、69人のチームが必要だ。最初のチームの教育は、サンクトペテルブルク市のマカロフ国立海運アカデミーで、原子力艦隊の元船員の指導のもと、2年間行われる。浮体式原発のオペレーター 教育センターも今後、原発を展開する地域で開設される予定。
浮体式原発には独自のエンジンが装備されていないため、最初にタグボートで移送される。カムチャツカ地方、チュクチ自治管区、サハ共和国のどこに最初に設置するかが、現在決められている。
津波などの自然災害にも「強固」
「アカデミック・ロモノーソフ」は、発電量70メガワット、熱エネルギー量300メガワットで、人口20万人の街の生活を支えることができる。また純水装置として、年間24万立法メートルの水を生成することも可能だ。発電ユニットの稼働期間は40年の予定で、使用済み原子炉は刷新のために特別なセンターに戻され、再利用される。
北極の厳しい条件で50年実験を行った原子力砕氷船の建造技術を、設計者は浮体式原発を開発する際に採用した。そのため「アカデミック・ロモノーソフ」は十分な耐久性を備えており、原子炉は津波やその他の自然災害に対しても「強固」だという。
天野IAEA事務局長がロシアの役割を強調
サンクトペテルブルクで行われた第3回国際原子力機関(IAEA)国際閣僚級会議では、ドミトリー・ロゴージン副首相がこう述べている。
「ロシアの原発は 昨年、国の電力需要の16%にあたる、1773億キロワット時という記録的な発電を行った。新しい浮体式原発などによって、2030年までにこの割合は 25~30%まで拡大する」。
「アカデミック・ロモノーソフ」の設計には、IAEAのすべての要求が盛り込まれている。天野之弥IAEA事務局長はこの会議で、原子力エネルギーの平和利用は、「クリーンなエネルギーを十分に確保するために人類が直面している課題の、解決の一助となり、ロシアはすでに重要な役割を果たしている」と述べた。
中国、インドネシア、マレーシアなども興味
浮体式原発はロシア北東部や極東などの孤立する地域で使われる予定だ。これらの地域ではエネルギーが不足し、発展を妨げている。中国、インドネシア、マレーシア、アルジェリア、ナミビア、アルゼンチンを含む15ヶ国が、すでに浮体式原発の購入に興味を示している。
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