=ロシースカヤ・ガゼータ(ロシア新聞)撮影
モスクワで行われるロシア政府軍事産業委員会の会議において、オムスク州で飛行船を組み立てるプロジェクトが検討される。
飛行船建造が重要案件だった20年前に、オムスク州で国立設計局「クルィロ」(翼)が創設された際、飛行船の開発は課題の一つとなっていた。
数百人の発明家、 設計士、技術者がこのプロジェクトに取り組み、政府は初の国産貨物飛行船の試作品製造に予算を配分した。だが不況がプロジェクトを妨げ、設計局は解散してしまった。それでも作業は続けられ、飛行船の基礎部分と構造だけでオムスクの技術者は200件以上の特許を取得した。
そのため、新しいプロジェクトへの準 備はできている。前の飛行船が忘れられてしまった原因は、スピードの遅さ、布の外皮、火災の危険性、突風に対する弱さだったが、これは今解決している。
新世代の飛行船とは
シベリア国立道路交通アカデミー革新センターのヴャチェスラフ・シャラエフ所長はこう話す。「葉巻形を変え、まったく新しい揚力制御と防氷のシステムを開発した。枠組みと外皮には炭素繊維強化プラスチックと先端材料が使われている。水素は不燃性ガスに代わった。無底荷システム、最新式の動力装置、ナビゲーション装置、ロケット技術が、飛行船を完全に新しい物にしている。現代の硬式飛行船は、さまざまな高さ、そして時速450キロメートルまでの速度で、 カリーニングラードからクリル諸島までの長距離飛行を行うことができる。しかも強風といった天候に左右されることがなく、一年中飛行可能だ」。
革新的な揚力制御システム
シベリアの発明家は最近、さらなる重要な発見をした。世界でも類のない、革新的な飛行船の揚力制御システムだ。ただし、実験サンプルを実物大に組み立て、特別な実験場で試すにも、資金が必要となってくる。
経済学者の試算では、宇宙船のライン生産の準備に20億ユーロ(約2600億円)以上が必要になるという。国家の支援なしに投資家だけでこのようなプロ ジェクトを実現するのは難しい。だが決して無駄にはならないはずだ。硬式飛行船は既存の交通手段の競合となるだけでなく、ロシアの機械建造に新しい分野を 生みだすからだ。そして世界でも、この隙間分野は埋まっていない。
「インフラなしに大量輸送」
シャラエフ所長はこう話す。「国はシベリア、極東、極北地域の発展を重視している。これらの場所に道路、橋、トンネル、空港、駅を建設するのはあまりに も費用がかかりすぎる。現代の飛行船だったら何も必要としない。地質学者、掘削作業員、森林伐採者、建設作業員などに貨物を工場から直接届けることができ る。届け先が山奥でも、沼地でも、永久凍土の土地でもだ」。
*元記事(露文)
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