=PhotoXPress撮影
「完全電気飛行機」の可能性は、民間、軍用を問わず、飛行機産業、およびそれに付随する分野の発展に新たな地平線を拓く。完全電気飛行機には、飛行機のすべての電力需要を補うことのできる、電気供給統一集中システムが装備される。
ロシアではホールディング会社「アヴィアツィオンノエ・オボルドヴァニエ(航空設備)」が、このような飛行機の開発に取組んでおり、すでに発表された同社の開発品は、発電装置の成績係数を他種エネルギーより10~15%高くし、さらにエネルギー・システムや機械全体の信頼性と動作特性を上げている。
「燃費8~10%低減、飛行機重量6~9%低減を目指す」
同社社長のマクシム・クジュク氏は、「当社は燃費の8~10%低減、飛行機寿命の3~5%延長、飛行機質量の6~9%低減を目指している」と話す。
完全電気飛行機では、エネルギー多量消費型システムの作動に電力が使用される。従来の飛行機では、油圧エネルギーや空気エネルギーが使われている。このようなシステムに該当するのは、まず飛行機の翼と離着陸装置の操縦、空調、防氷、航空機エンジン始動の各システムだ。
ソ連とロシアで、完全電気飛行機の問題に取り組んできたのは、主に中央航空流体力学研究所である。
この研究所では、機上装備システムの大規模な電化、またそのための大電源装置設置が重視された、将来性のある旅客機MS-21が開発されているが、電気供給システムを著しく強化したことで、どんな電気の種類を選ぶかという選択の問題が浮上している。いかに効率的な種類の電気を発電機で得るかということだ。
電気式シャシーの開発
本格的な完全電気飛行機を建造するまでの道のりは長い。
一方で、「大部分電気飛行機」プログラムの一環として、サマラ市の航空機用シャシー設計・製造会社「アヴィアアグレガト(航空ユニット)」は、航空機の電気式シャシーを開発している。
駐機の際、反動エンジンやターボプロップ・エンジンといった専用エンジンではなく、航空機の車輪の特別な電気駆動装置を使用するというもので、これによって空港の騒音の低減や、航空燃料の節約が可能となる。
クジュク氏はこう話す。「これは画期的な技術だ。将来このプロジェクトが、当社の新製品に採用され、新たな注文につながることを願う」。
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