ウクライナ東部で何が起きてるのか

「ドネツィク人民共和国」の義勇軍

「ドネツィク人民共和国」の義勇軍

=ZUMA Press/Global Look Press
 ウクライナ東部ではすでに3年、武力衝突が起きたり止まったりしている。ロシアを含む仲介国が外交的にこの紛争を解決しようとしているが、なかなかうまくいっていない。

2. なぜ衝突したのか?

 ウクライナ東部はロシアと国境を接しており、住民の大半がロシア語で話す。ウクライナ東部は「ドネツ炭田(ドンバス)」とも呼ばれる屈指の石炭埋蔵領域で、ウクライナで最も経済的に発展している地域の一つと考えられている。 2014年2月にウクライナの首都キエフで反体制派が当時のビクトル・ヤヌコビッチ大統領を解任すると、ウクライナ東部に動揺が走る。住民はウクライナの新政権が民族主義的な政策をとり、ロシア語を禁止するのではないかと心配した。2014年3月16日にクリミア半島でロシアの一部となることの是非を問う住民投票が実施され、圧倒的な賛成票が投じられたことも、状況の激化につながった。 ドネツィク州とルハンシク州で地元の行政府の建物を占拠した抗議者は2014年4月7日、「ドネツィク人民共和国」および「ルハンシク人民共和国」の創設を宣言した。ウクライナの新政府はこれに対し、反テロ作戦(ウクライナは東部の戦闘をいまだにこのように分類している)を発表。武力衝突が始まり、雪だるま式に毎週拡大していった。2014年夏までには、装甲車両、軍用機、防空ミサイル・システムを双方が使うようになっていた。

5. どうやって和解させようとしているのか?

 2014年の秋と2015年の冬に、紛争の平和的解決を目指すミンスク和平合意が2つ結ばれた。フランス、ドイツがウクライナ側の保証国となり、ロシアが東部側の保証国となった。 ミンスク和平合意の条件によれば、軍の撤退後および停戦後に、ウクライナは憲法改正を実施し、義勇兵の恩赦を宣言しなければならない。その後、両人民共和国の行政がウクライナ政府に統合し、領域がウクライナ政府の管理下に戻る。だが、この通りにはならなかった。ミンスク和平合意は停戦の段階で空回りしている。

6. なぜこの問題は世界にとって重要なのか?

 CIS諸国研究所のウラジーミル・エフセエフ副所長によれば、ウクライナ紛争は現時点でヨーロッパ最大の武力紛争だという。「この情勢を解決できなければ、ヨーロッパに影響がおよぶ。武器の違法供給、過激派の出現、出稼ぎ労働者の流入といった形で」とエフセエフ副所長。 和平プロセスの空回りは危険に見えるという。「西側はウクライナのことを忘れようとしている。だが新たな衝突が始まり、新たな死者が出ると、ウクライナは再び注目を得る」とエフセエフ副所長。東部(およびクリミア)の問題が、ロシアとアメリカの関係の中心になったという。ウクライナ問題で譲歩がなければ、ロシアとアメリカの建設的な対話も行われず、それが世界に影響をおよぼす。

7. いつどのように紛争は終わるか?

 ロシア国立研究大学「高等経済学院」世界経済・世界政治学部長であるセルゲイ・カラガノフ氏によれば、ミンスク和平合意に代わるものは、これまでと同様、皆無であり、この和平合意を実現させるには、外部勢力すなわちロシアとアメリカからの圧力が必要だという。「ヨーロッパ諸国は今、自分たちの問題で手一杯。ウクライナへの影響力は弱い。西側で主要な役割を果たせるのはアメリカだけ」 エフセエフ副所長も同じ考えだが、ロシアとアメリカがウクライナ問題で歩み寄れるかを予測するのは「むだ」だと話す。「ドナルド・トランプ政権がウクライナ問題でどうふるまうのか、いまだに誰も知らない。ロシアの立場は明確であり、今やすべてはアメリカ次第」