スノーデン氏のロシア生活

エドワード・スノーデンは、ビデオ会議を行っている、ニューヨーク、2016年9月14日=

エドワード・スノーデンは、ビデオ会議を行っている、ニューヨーク、2016年9月14日=

ロイター通信
 アメリカの中央情報局(CIA)元職員エドワード・スノーデン氏は、バラク・オバマ大統領による恩赦と帰国の許可に期待している。スノーデン氏のロシアでの生活はすでに3年以上になっているが、依然として自分をよそ者と感じており、アメリカに帰国したいと願っている。

 アメリカおよびイギリスの情報機関の世界的なシステムによる、自国民を含めた世界に対する盗聴の実態を暴露したスノーデン氏は、2013年6月からロシアで密かな生活を送っているが、アメリカへの帰国を希望している。映画「スノーデン」(アメリカ公開は9月16日)のオリバー・ストーン監督は、アメリカ系のインターネット新聞「ハフィントン・ポスト」のインタビューでこう話した。「スノーデン氏は真摯な思いでやった。アメリカを愛しており、帰国を願っている」

 スノーデン氏自身は、ロシアが自分にとって一時的な非難場所に過ぎないことを強調した。イギリスの「ガーディアン」紙の9月13日づけのインタビューで、オバマ大統領が来年1月に退任する前に、自分を恩赦することへの期待を表明した。スノーデン氏は今のところ、帰国すれば起訴される。そして長期の懲役刑が科される可能性が高い。

 

モスクワで足止め

 スノーデン氏はイギリスのテレビ局「BBC」のインタビューの中で、偶然ロシアに来たことを改めて説明した。2013年6月、中南米に向かう際、トランジットでモスクワに来た。だがアメリカがスノーデン氏のパスポートを無効にしたため、そのままとどまらざるを得なくなった。亡命を認めた唯一の国となったのがロシア。2014年8月1日、3年の滞在許可を手にした。

 スノーデン氏がどこに住んでいるのかは明らかにされていない。報道によれば、モスクワ市またはモスクワ州である。ロシア国内を旅行することは可能で、アメリカの週刊誌「ネーション」の2014年10月のインタビューで、サンクトペテルブルクに行き、とても気に入ったと話している。

 

ひっそり暮らす

 スノーデン氏によると、自身はマンションでパソコンにずっと向かっていられれば良い「内猫」で、どこにいてもインターネットの中に住んでいることの方が多いのだという。レストランで注文できるレベルのロシア語をすでに知っているものの、会話は英語のままである。本人によれば、ロシアに定住する気はまったくないという

 スノーデン氏はインターネット上で活動し、収入を得ている。インターネットで公開講演を行ったり、インターネット上のジャーナリストの安全性を高めるツールを開発したりしている。ロシアに来たことで、家族や近しい友人と疎遠になっているということはなく、恋人のリンジー・ミルズさんは2014年にロシアに移住し、同居している。父のロニー・スノーデンさんも2013年10月にロシアを訪問している。

 

ロシア政府を批判

 スノーデン氏は2015年9月、クレムリンのインターネット政策(スノーデン氏の見解によれば、ロシア政府はインターネットを管理しようとしている)や、性的少数派の権利の侵害を批判した。「我々がロシア政府に見る動きはインターネットをますます管理しようとしていること、(中略)人々の愛の表現の仕方の何が適切で何が不適切かを決めるのは根本的に間違っている」と、ガーディアン紙に語っている。

 また、通信業者にユーザーの通話およびメッセージを録音し、必要に応じて国家機関に提出することを義務づける、今年7月に承認された反テロ法を厳格化する改正法案(「ヤロワ・パッケージ」)にも、スノーデン氏は反応した。「人権だけでなく、常識をも侵害する抑圧的な新法に、プーチン大統領は署名した。ロシアの暗黒の日だ」と短文投稿サイト「ツイッター」の自身のアカウントに書いている。ヤロワ・パッケージを「ビッグ・ブラザー法(独裁者法)」と呼んだ。

 ロシア政府はスノーデン氏の批判に冷静に反応している。「スノーデン氏がロシアに暮らしているからといって、何かを強制されるわけではない。同様の批判はロシアでも海外でもあった。これは完全に正常だという意見もある」とロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官は話している

 

オバマ大統領の恩赦はあるか

 フランクリン・ルーズベルト米国研究財団のユーリ・ログリョフ理事は、オバマ大統領がスノーデン氏を恩赦し、帰国を許すということには懐疑的だ。「オバマ大統領はスノーデン氏がロシアに行った経緯に関連するすべての事柄を深刻視した。自分の意見を突然変えるとは思えない」と、ロシアの経済紙「コメルサント」に話した。

 このように、スノーデン氏の今後はわからないままだ。スノーデン氏の弁護士であるアナトリー・クチェレナ氏によれば、2017年8月1日に滞在許可が期限切れになった後どうするかを本人はまだ決めていないという。「人生は困難で多面的であり、すべてがどう展開するかはわからない」と、ロシアの「インテルファクス通信」はクチェレナ弁護士の言葉を伝えている。