大統領の国民との直接対話の結果

ミハイル・クレメンチエフ撮影/タス通信

ミハイル・クレメンチエフ撮影/タス通信

ウラジーミル・プーチン大統領は、13回目となる毎年恒例の国民との直接対話を行い、4時間以上にわたって国民の質問に答えた。専門家らは、「集団セラピー」は円滑に行われ、大統領は自分の有権者を安心させた、と見ている。

 4月16日、木曜日、ウラジーミル・プーチン大統領は、13回目となる毎年恒例の国民との直接対話を行った。事前の予想どおり、多くの質問は、経済に関するもので、ウクライナとの関係は、二の次だった。ロシアNOWの取材に応じた専門家らによれば、ウクライナ疲れといったものがあり、今は国内の危機のほうがはるかに重要であり、大統領は、ルーブル高と石油の値上がりを背景に「集団セラピー」を上首尾に行うことができた。

 

紛争は二義的 

 しかし、ウクライナのテーマを完全に避けることはおそらくできなかったであろう。国民は、依然として、隣国との紛争の影響ばかりでなく、紛争の激化の可能性にも懸念を抱いている。プーチン氏は、戦争の可能性に関する質問に答えて、「それはありえないものと考えている」と語った。プーチン氏は、また、「失敗した」のはロシアのウクライナ政策ではなく、民族主義的な勢力がその問題を利用したウクライナ自体であるが、ウクライナ人とロシア人は依然として「一つの民族」である、もっとも、今ロシアは、ウクライナからせめて敬意を示してもらうことのほかは何も期待していないが、と述べた。

 ロシア政府寄りの政治研究所のセルゲイ・マルコフ所長は、「ロシア人とウクライナ人は単一の民族であるという立場は、戦略的な影響をもたらす」と考えているが、同氏によれば、ウクライナ方面における失敗を否定することは、「ウクライナをアメリカに事実上占領された国とみなしている」人たちを満足させず、それが、不満の感じられた唯一のテーマだったという。独立専門家グループの代表であるコンスタンチン・カラチョーフ氏も、「アメリカのテーマは、今回はかなり穏やかに好意的にさえ扱われた。ロシアにはテロリズム以外に敵はない、といったふうに」と述べる。

 一方、独立系の政治学者であるドミトリー・オレーシキン氏は、大統領は、それは「ウクライナの内政問題」であるとして、ウクライナ紛争に対する責任を自ら負うまいとしている、と考えている。すなわち、プーチン氏は、ドンバス(ウクライナ南東部)への配慮が足りないとしてポロシェンコ大統領への失望を表わす一方、人道支援は行われると指摘した。このことは事実上、プーチン氏が「投資は一切しませんから自分たちでなんとかやってください」と宣言した形であり、これは、ドンバスにとっては非常に好ましくないシグナルである――。こうオレーシキン氏は述べている。

 

経済危機に関心が集中

 政治情報センターのアレクセイ・ムーヒン所長の考えでは、大統領が自身をより自由にそして事情通と感じていた外交に関する質問とは異なり、経済に関する質問に対しては、やや返答に窮した感があった。同氏は、「プーチン氏は、事実上、多くの人が不十分で精彩を欠き時宜に適わないと考えている政府の行動について弁明するという苦しい立場に立たされた。たとえば、外貨建ての住宅ローンに関する質問は、大統領を窮地に追い込んだ」と述べる。

 しかし、プーチン氏の返答は、社会を満足させるものでなくてはならなかった。マルコフ氏はこう語る。「プーチン氏は、制裁にもかかわらずロシアが僅かながらも経済成長を遂げている点を指摘し、生活水準の低下は見られるものの私たちはそれを深刻化させず、私たちは自分たちのために制裁を利用しており成長を促しており、これがもっとも大事なことだ、と述べた」

 

「万事予定通り」

 カラチョーフ氏は、全体として、社会の気運は高揚し、国民の嫌悪感は一時的に払拭された、と見ている。同氏によれば、その日、国民は、おそらく、万事予定通り進んでおり国内は安定しており大統領はすべてを掌握していることを知るために、テレビをつけたであろうから、緊迫する場面のないことは、予想されたという。

 同氏は、こう述べる。「直接対話の主な課題は、集団セラピーを行って、解決されない問題のないことをみんなに確信させることである。プーチン氏のイメージにとっては、今のところ、すべて理想的に事が運んでおり、大統領は、事情通で優しく決然としているという自分の美点をすべて見せた」

 ロシアNOWの取材に応じたほかの専門家らも、同様の見方をしており、彼らの考えでは、直接対話は、十分想定の範囲内であり、退屈な場面もあったが、全体として万事上首尾に行われた。オレーシキン氏は、「国のトップは、コンディションが優れており情報を掌握しているところを見せている。すべて演出されたものであることは確かだが、それもしかたあるまい。そうでなければ、おかしかったろう」と語り、ムーヒン氏は、「ウラジーミル・プーチン氏は、自分がかつて提示した命題をかなり明確に述べたのであり、原則的に新しいことは、何一つ語られなかった」と述べている。