エドワード・スノーデン氏=GettyImages/Fotobank撮影
– いつもお忙しそうですね。私たちは一月半ほど前から取材をお願いしていました。よく本を書く時間がおありでしたね。
エドワードのことでいろいろあってから、私は、洗いざらい語りたいと思っていました。一、二時間、仕事部屋に籠ることもありましたが、たいてい、深夜に午前3~4時ごろまで書いていました。記憶が薄れないうちに綴り、2013年11月にはすでに書き上げていました。けれども、私とオリバー・ストーン氏とプロデューサーのモリッツ・ボーマン氏は、映画のクランクインと同時に本を出版することにしたのです。
– スノーデン氏は、もうその本を読みましたか?
ええ、気に入ってくれたようです。私は、彼と多くの時間を共にしています。私にとって大切だったのは、アメリカの民主主義の落とし子として、そこで生まれ育って半生を過ごし誰も怖れずに強大な米国の特務機関に挑んだ人物として、彼を理解することでした。彼は、私にとってヒーローとなりましたが、それは、私に限ったことではないでしょう。彼は、勇気をふりしぼり、体制に異を唱えはじめ、もっぱら思想的そして内面的な信念に基づいてそれを行い、そこに金銭が絡むようなことは、一切ありませんでした。それで、そうした本を書かずにはいられなかったのです。
– スノーデンさんは、今、どうされていますか?
彼は、不平を鳴らすこともなく、申し分のない生活を送り、私たちロシア国民と同様の権利と自由を享受しており、そこには、何の問題もありません。彼は、居住許可証を得ました。彼のもとへ、まだ向こうにいたころに知り合った女性がやってきますが、二人は、すてきなカップルです。もちろん、彼は、アメリカや親類縁者を懐かしんでおり、できれば戻りたいようですが、公正な裁判が期待できないため、それも叶いません。彼の事件は、もっぱら政治的に捉えられており、私たちは、彼の名誉と尊厳を辱しめ傷つけようとする米国の国務省や政治家たちのコメントばかり耳にしており、こうした状況にあって公正で人道的な裁判を期待するのは、無理というものでしょう。
– わりと最近、国務省のサキ報道官は、ロシアの独立系テレビ局「ドーシチ」へのインタビューで、露米関係における政治的な複雑さに苦言を呈するなかで、スノーデン氏の事件を躓きの石の一つに挙げ、同氏に対し帰国して公正な裁判を受けるよう促しました。
もちろん、彼らは、それを願っています。けれども、米国の国務省や大統領の姿勢が今のままでは、公正な裁判は望めません。そうでしょう、たとえ検事が死刑を求めなくとも、スノーデン氏に対して本国でこれまで浴びせられ今も浴びせられている誹謗中傷の山は、否が応でも陪審員たちにも影響を及ぼすでしょう。なぜなら、陪審員たちも、新聞を読み、テレビを視て、国務省や大統領の姿勢に注目しているからです。
– ストーン氏とはどのようなご縁で?
スノーデン氏についての彼の見方をどこかで耳にしたことがありまして、誰かこのいきさつを然るべく語り本を映画化することのできる人がいるとすれば、彼しかいない、と思ったのです。それで、原稿を見てもらうことにしたのです。オリバーさんは、そのとき香港にいました。彼とモスクワで会って具体的な話をするためには、あれこれの組織上の問題を処理するばかりでなく、あらかじめ彼に私の本を読んでおいてもらわなくてはなりませんでしたが、彼は、旅の途中で読んでおいてくれたので、モスクワですぐに脚本の話ができました。
– もう撮影は見にいかれましたか?どんな様子ですか?
私は、撮影班の仕事ぶりにとても満足しています。見事の一言です!現場では、120~150人ほどの人が、各々の課題をそつなくこなしています。「レディー、アクション!」という声が掛かると、蠅の音が聞こえるほど静かになります。俳優たちとのコミュニケーションやプロセスの把握といった監督の仕事も、すばらしいです。私は、オリバーさんが声を荒げるのを一度も聞いたことがありません。エドワードの役を演じているのは、ジョゼフ・ゴードン・レヴィットで、彼は、エドワードにとてもよく似ています。
今は、ドイツで撮影されています。モスクワでも撮影する予定でしたが、今のところ、本決まりではありません。4~5月には撮影が終わって編集に移るでしょう。映画は、12月25日に封切られることになっています。
– 本の翻訳の予定は?
ええ、今、進めているところです。すでに、中国人からオファーがありました。イタリア、セルビア、ブルガリア、フランス、米国、イギリス、リビア、イランでも、翻訳されるでしょう。
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