サハリン州知事を逮捕

ロイター通信撮影

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収賄の容疑で、アレクサンドル・ホロシャヴィン・サハリン州知事が逮捕された。ロシア連邦捜査委員会は、「例外はありえないし、これからもない」と声明している。政治評論家らは、これほどの高官の逮捕は、他の地域に対するシグナルでもあり、「もっと目立たなく、忠実に行動しなければならない」との警告を含むと考えている。

 アレクサンドル・ホロシャビン・サハリン州知事が側近3人とともに巨額の収賄の容疑で逮捕された。捜査関係者は、ホロシャビン知事が地元の火力発電所建設に関する契約に際し、560万ドルを受けとったと推測している。

 知事レベルの高官の逮捕は稀なケースで、現職知事が拘束、逮捕されたのはホロシャビン知事が二人目(前回は2006年)。政治評論家らは、クレムリンが再三同氏にサインを送っていたのに、反応しなかったとみる。

 

「例外はなかったし、これからもない」

 3月4日、 治安機関は、サハリン州政府庁舎を捜索し、ホロシャビン知事をモスクワに護送した。知事のモスクワのマンション別荘、官邸からは、巨額の金銭と大量の宝石が見つかっている。

 「これほどの高官に対して刑事事件が立件されたという事実そのものが、国が汚職問題に断固取り組もうとしている、その決意を裏付けている。<…>例外はなかったし、これからもない」。ホロシャビン知事の逮捕に関し捜査委員会が出したプレスリリースには、こう述べられている。

 注目すべきは、まさにこの逮捕の当日、内務省の拡大会議でプーチン大統領が同省を厳しく批判し、大規模な汚職事件がほとんど摘発されていないと指摘していたことだ。「まるで、そんな事件が起きていないとでもいうかのようだ」。その際、大統領はこう付け加えた。

 政治評論家らはもう、ホロシャビン知事の逮捕は、すべての知事に対しての中央からの警告だと解釈している。

 「汚職対策の見せしめ」だと言うのは、国立高等経済学院・地域政治研究室長で、政治学者のロスチスラフ・トゥロフスキー氏だ。「ロシアでは、他の人間にとって見せしめになり、大人しく忠実に行動するようにと、こういう派手な警告をする」。そして、普通はこうした一回の警告で十分効き目があるのだという。トゥロフスキー氏は、このあと大規模な汚職対策キャンペーンが実際に展開されるとは考えていない。

 

「知事はサインに反応しなかった」

 サハリン州知事は既に何度もせっぱ詰まったサインを送られていたと専門家らは指摘する。逮捕の直前には、政府組織である「全ロシア人民戦線」が知事を批判していた。すなわち、知事の法外な出費を指摘(1375万ドルを政府庁舎改修に費やし、1132万ドルを自分のPRに使っていた)。2013年には、人民戦線を通じプーチン大統領自らが、自己宣伝するより新しい幼稚園を造ったほうがいいと公に警告していた。

 「このときの人民戦線の警告はもちろん大統領府から中継されたものだ」と言うのは、政治情報センターのアレクセイ・ムヒン所長。「人民戦線は、ホロシャビン知事に対する一般の気分と法外な出費に関心をもっていた」

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 だがムヒン所長によると、誰もこの知事を“ハイリスク・グループ”には入れていなかったし、そういったことは他の地域でも行われているという。

 この事件は、政治、財政面での対立とも関係があるかもしれない。サハリン州には、ロシアの石油・ガスプロジェクトが集中している。同州の予算は原油収入で潤っており、極めて良好だ。

 「前代未聞の規模の汚職なるものは、サハリン州にはあったためしがない。むしろ、同州は最も安定した地域の一つに数えられていた」。ムヒン氏はこう指摘する。同氏の意見では、事の本質は、資金の流れをめぐる争いにある。中央政府には、州の財政が気に入らなかったので、「もっと忠実な人物」に知事が交代させられることになるだろうという。