世界で生じる分裂の脅威

ミハイル・クレメンチエフ撮影/タス通信

ミハイル・クレメンチエフ撮影/タス通信

オーストラリア・ブリスベン20ヶ国・地域(G20)首脳会議が15、16日に開催された。ウラジーミル・プーチン大統領は出発前にタス通信のインタビューに応じ、既存の世界システムとその中でのロシアの立ち位置について話していた。

G20の影響力と“自由さ” 

 世界でもっとも重要な会議となりつつあるG20。プーチン大統領にとってこれは拡大された国連安保理のような機構ではなく、「二国間関係やグローバルな問題に関して話し合い、どこに問題が存し、どう解決していくべきかについて、少なくとも共通の理解を得ることができるプラットフォーム」である。

 ロシア国立研究大学「高等経済学院」のドミトリー・ススロフ上級教授はこうロシアNOWに説明する。「国連安保理やG7などとは異なり、G20はより代表的な機構。国連総会とは異なり、影響力および権威のある国家のみが集まっている。そのため国連総会では参加者がただ意見を述べている一方で、G20では問題を実際に解決している」

 その際、G20の参加者は、議題および長期的活動の方向性の作成面で、より自由に感じている。「G20には決定事項を実現するためのツールや決定事項の履行を義務付ける機関がない。会議後に状況が変われば、参加国は決定の履行を簡単にやめることができる」と、ロシア国際問題会議のプログラム責任者イワン・ティモフェエフ氏は話す。

 プーチン大統領は欧米による対ロシア制裁について、ロシアだけでなく、重要な販売市場を失うヨーロッパ経済自体にも悪影響を与えると話していた。

 

制裁の負の影響 

 ロシア国立研究大学「高等経済学院」欧州・国際共同研究センターのティモフェイ・ボルダチョフ所長はこう話す。「ヨーロッパ諸国やその企業は現在、対ロシア制裁を科したことによる損失の補填源を模索しなければならなくなっている。また制裁以外にも、出張やロシアでの活動許可の減少によって経済的な相互関係が停滞している。国は、紛争がそれほど長引かず、モスクワは簡単に屈すると考えながら、自国の企業に財政支援を行っている」

 しかしながら制裁による最大の負の影響とは、「国際関係のすべてのシステム」を乱すことだと、プーチン大統領は考える。ユーリー・ウシャコフ大統領補佐官によると、プーチン大統領とG20で話し合いを行ったBRICS諸国もこの考え方を支持したという。

 「制裁は国家間の信頼を損ない、また資金的に余裕のある制御不能な競争力を持つツールに変わりつつある国連の機関を損なう。これらの機関は問題を解決するのではなく、深刻化させている。ウクライナ問題についてもそうで、対ロシア制裁を発動して、ウクライナで改善がみられただろうか。平和になり、繁栄し、経済が成長し始めただろうか。そんなことはない。紛争参加者のすべてに出費がのしかかっている」とティモフェエフ氏。

 

孤立か世界の分裂か 

 「制裁は欧米がコントロールしている国際的な金融・経済手順(ドル経由、世界的な金融市場の規制、IMFおよび世界銀行の決定システム)を不安定にさせている。ロシアは西側に制裁を科された最初の国ではない。だが例えばイランとは異なり、ロシアは世界第6位の経済大国、G20の参加国、国連安保理の常任理事国である。ロシアに制裁を発動するということは、西側が自分の足を銃で撃つことになる。インド、中国、ブラジルなどの非西側勢力を含むすべての国が、これを前例と解釈するため。政治を理由に、どこかの段階で自分たちが同じような目にあうかもしれないと警戒する。今や世界経済への西側のコントロールを弱めようとする刺激になっている。代替機関や世界金融・経済決済システムの創設などを通じてなど。これはすでに起こっていること」とススロフ上級教授。

 「制裁発動は非西側、ユーラシアの勢力の新たな協力を刺激する。アメリカ中心のプロジェクトに加わっておらず、またその意向もない勢力である。そして非西側ユーラシア(ロシア、中国、インド、イラン)と拡大された西側(アメリカ、環太平洋戦略的経済連携協定、環大西洋自由貿易圏)の分裂の脅威が生じている」とススロフ上級教授。

 「制裁を利用していることが、情勢解決の建設的な戦略の不在を示している。戦略がないということは、長期的見通しもないということ。ウクライナをとっても、今年だけであらゆる方向から、場当たり的行動、火消しを見た」とティモフェエフ氏は述べた。