ハルコフ市で29日未明に大きなレーニン像が倒された。ロイター通信
「コメルサント」紙は、ウクライナ最高会議の総選挙を控えたウクライナの状況について書いている。
立候補者の届け出の期限は30日。誰もが控えめに選挙運動を行っている。高額な挑発的宣伝を行えば、資金の無駄遣いと批判されかねない。前線の兵士向けの武器を購入する方が優先的なのだ。
政治学者によると、今のところもっとも優勢なのはペトロ・ポロシェンコ大統領の新党「ペトロ・ポロシェンコ・ブロック」。得票率は30%~40%と予測されており、政党名簿比例代表だけで70~90人の議員を最高会議に置けることになる(比例代表は定数450の半数)。これ以外に小選挙区の候補数十名が加わることになる。
2番目はオレフ・リャシコ党首の「急進党」。予想得票率は10%~15%。急進党に迫るのがユリヤ・ティモシェンコ元首相の「ティモシェンコ連合」で、予想得票率約10%。ティモシェンコ元首相は選挙運動の中で、「ウクライナ東部のテロリスト」に譲歩したとして、ポロシェンコ大統領を痛烈に批判している。
4番目はアルセニー・ヤツェニュク首相の「人民戦線党」で、予想得票率6%~8%。人民戦線党の特徴は、小隊長、大隊長、その他の「戦争の英雄」が名簿上位により多くいることである(6人)。ヤツェニュク首相とその戦友は最近、過激さでリャシコ党首に近づいている。
ウクライナ南東部の一部地域では最高会議の選挙は行われない。ルハンシク州セヴェロドネツィク市の第106選挙区から立候補する、ビジネスマンのセルゲイ・シャホフ氏は、こう話す。「カーキ色の最高会議になってしまうことはすでに明らか。良くないことだけど、現状からすればそのような配分は避けられない」
「独立新聞」は、ハルコフ市で29日未明に大きなレーニン像が倒された事件を分析している。
ドネツィク州、ルハンシク州に隣接するハルコフ州は、親ロシア的な地域と見なされていた。しかしながら、状況は根本的に変わった。今回の事件は、分離独立の波がドネツィク州、ルハンシク州を超えないことを証明している。
キエフの政治学者イーゴリ・セミヴォロス氏はこう話す。「ハルコフ州や、他のドネツィク州、ルハンシク州に隣接する地域では、親ウクライナ的なムードが強まっている」。隣接する地域では、地元のエリートが状況をコントロールし、反ウクライナ的な発言を抑え込むことができたという。
「ガゼータ・ル」は、「誰が戦争で崩壊した州を復興させるのか」という副見出しをつけて、ウクライナ東部の状況について書いている。
ミンスク合意後の戦闘の弱まりは、東部復興の財源問題を主要な問題に押し上げた。専門家は、欧米の対ロシア制裁の解除をめぐる駆け引きが、崩壊した東部の支援になり得ると考える。
制裁解除について誰と協議すべきだろうか。「アメリカの制裁緩和は無理だろう。アメリカは東部とあまりつながっていない。ヨーロッパは情勢の安定により関心を持っている」と専門家は話す。
別の専門家は、ロシアが2つの選択肢を天秤にかけて考えなければいけなくなると話す。それはこのまま制裁に耐えることと、東部復興に取り組むのと、どちらが安上がりかということである。
東部の人民共和国幹部に近い消息筋は、アブハジアや沿ドニエストルのような復興シナリオすなわちロシアの非回収債権を予測する。東部の復興にかかる金額はさまざまに試算されている。欧州連合(EU)は近々、損害を調べる予定。
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