森元首相「日露関係重要」

森元首相=アンドレイ・ルダコーフ撮影

森元首相=アンドレイ・ルダコーフ撮影

日本の森喜朗元首相は、第2回日本・ロシアフォーラムの総会で演説を行い、日本とロシアの関係だけでなく、世界情勢についての見解を示した。

 演説の冒頭では、自身がすでに78歳であることに触れながら、ロシアで暖かい歓迎を受けたのは初めてではないと述べた。冬季オリンピックでソチを訪問した時のことについて、「ウラジーミル・プーチン大統領に歓迎していただいた」と話した。「2020年に東京でもオリンピックが開催される。このスポーツの祭典が高いレベルで行われるよう全力を注ぐ」

 森元首相は自身の父親についても語った。「父はロシア人ほど優しい国民はいないと話していた」。森茂喜氏は1976年にイルクーツク市を訪問していたという。「両国の未来の関係のために活動を続け、父の仕事を続ける」と強調した。

 北朝鮮の弾道ミサイル発射に懸念を示しながら、現在の国際情勢の難しさに触れた。「アジア太平洋地域が安定することがもっとも重要。日本とロシアが協力すれば安定は可能」。そして日本とロシアの関係の話題に移行した。「両国の関係には長い歴史があり、協力の重要なマイルストーンを忘れてはならない」と述べ、安倍晋三首相とプーチン大統領の貢献があることを伝えた。「両国関係が友好的になることが大切」だという。

 

スピーチの名人芸

 余談の名人芸でロシア人によく知られている森元首相は、今回も歴史の実例をあげながら、おもしろい話をした。ロシア革命時代、サンクトペテルブルクの困難な状況により、ウラルへ、次にウラジオストクへと、800人ほどのロシアの児童が避難。避難の継続および帰宅が必要になった時、児童を運ぶ手段が見つからなかった。そこで日本が支援を申し出て、船と乗組員を提供。3ヶ月におよんだ船旅で、日本人乗組員とロシア人児童はすっかり仲良くなり、別れの際にはどちらも泣いたという。「両国の間には政治関係だけでなく、一般の国民の関係もある」と森元首相。日本とロシアの関係を改善するためには、領土問題の解決だけでなく、国民の関係の発展も必要だと強調した。これには安倍首相とプーチン大統領の個人的な合意によって可能となった、今年のロシアの東洋武術年が寄与し得るという。

 

ウクライナ情勢について

 その後、ウクライナ情勢によって日本とロシアの間に生じた最近の困難に話がおよんだ。「プーチン大統領は現在、ウクライナ情勢をめぐり、世界から批判を受けているが、対話を可能にし、この問題を平和的に解決すると信じている。心からそれを願っている」、「ウクライナへのロシアの関心を理解している。たくさんのロシア人がそこに暮らしている」と森元首相。

 欧州連合(EU)のウクライナ問題への対応についてはこう述べた。「ヨーロッパで長期的に戦争がなかったという理由で、EUはノーベル平和賞を受賞したが現状はどうだろう。ノーベル賞が泣く」。ヨーロッパには新たな規律が必要であり、ロシアはEU諸国とともにその課題を遂行しなければならないという。

 「我々はアジアが平和な地域になり、世界中が平和になるよう努力しなければならない」、「我々は世界が密接になっている21世紀を生きている。隣国同士に限らず、平和を実現するのが我々の課題」と締めくくった。

 

ナルィシキン議長とも会談

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 その後の原田親仁駐ロシア特命全権大使の挨拶が終わった後、セルゲイ・ナルィシキン下院(国家会議)議長と森元首相は個別に会談を行った。カメラを抱えた記者団は扉の外で待ち、1時間半後に扉が開いた。最初に退室したのはナルィシキン議長。そのまま無言で出口へと向かった。記者団がこの非公式会談に強い関心を示した理由は、プーチン大統領宛ての安倍首相の親書を森元首相が手渡すのではないかという情報が流れていたためだ。

 会談に同席した消息筋によると、ウクライナ情勢について話し合いが行われ、親書はその場では渡されなかったという。今回の訪問中か、その後かは不明だが、親書が森元首相によって手渡される可能性はあるという。