AP通信
「コメルサント」紙は、ロシアとヨーロッパがウクライナ情勢の新たな正常化の道筋を探っていると伝えている。
ウクライナ東部での対立は、独立を宣言している人民共和国の領域で新たな衝突をもたらしているが、現在より困難な状況となっているのがドネツィク州スニジネ市近郊。主な義勇軍が集中しているルハンシクとドネツィクでは、状況が安定している。ウクライナ軍が襲撃に動いていないことや、義勇軍によって航空機を2機撃墜された後、航空機の使用を控えていることなどがその理由。
ウクライナ情勢の悪化は、戦闘停止と国際的な仲介を通した政治的解決の試みを活発化させた。欧州連合(EU)の中でも特に活発な役割を果たしているのがドイツ。欧州安全保障協力機構(OSCE)の監視団をロシアとウクライナの国境に配置すべき、とのロシア政府の提案も支持した。
一方で、ロシア外務省によると、イギリスなどの国がこれを妨害しているという。ウクライナ情勢をめぐるEUの意見がわかれてきていることから、アメリカはロシアがウクライナの反政府勢力を支援していると非難しながら、ロシアへの圧力を強めている。
ロシア国防省は15日、アメリカ、ドイツ、日本、中国、フランス、オランダ、ベルギー、ウクライナなど18ヶ国のモスクワ駐在武官を、ロストフ州(ウクライナと国境を接するロシア南部の州)の国境付近に招待した。この地域の現状や、ウクライナ側から砲撃を受けた現場を実際に目で確認してもらうため。招待に応じたのは11ヶ国。
「独立新聞」は、ウクライナと欧米のマスメディアが、ウクライナ南東部の義勇軍をロシアが援助していると考え、一方的に非難していると書いている。
非難の内容は、ウクライナのドネツィクとルハンシクに、最新型の重兵器を供給しているというもの。しかしながら、その証拠は提示されていない。結果、ウクライナ軍の大きな喪失を説明しながらの、根拠のない主張になっている。
アメリカは実際のところ、どのような情報や証拠を持っている、あるいは持っていないのだろうか。ロシア連邦軍参謀本部偵察総局の消息筋は、アメリカが現在、ロシアとウクライナの国境付近を宇宙からほぼ絶え間なく監視していると考えている。人工衛星の解像度は、この地域の兵器の種類や改造まで正確に特定する。また兵器の正確な位置と国境を超えた時間を定めることも簡単だという。
しかしながら、兵器がロシアからウクライナに入ったことを示す写真や判定を、いまだに誰も提示できていない。アメリカによる根拠のない執拗なロシア批判は、何倍にもなって、ウクライナの政府とマスコミの嘘に変化している。
「ガゼータ・ル」紙は、ウクライナのガス貯蔵庫が十分に充填されていないことをEUが不安視している、と伝えている。
ウクライナはガス価格についてロシアと合意できない可能性が高く、地下のガス貯蔵庫は充填されずに、冬のヨーロッパで供給の遅延が生じると、EUの役人は指摘している。
ウクライナはロシア産ガスを調達できなければ、需要を厳しく制限して社会的な緊張を高めるか、あるいはヨーロッパ向けの通過ガスを自国で不法に使用することになる。ロシアの国営ガス会社「ガスプロム」が、ウクライナのガス代金滞納を理由に前払い制に移行した後、ウクライナの国営ガス会社「ナフトガス」はロシア産ガスを受け取っておらず、ウクライナに送られているのはヨーロッパ向けの通過ガスのみとなっている。
EUにはウクライナの債務を代行弁済する意向はないようである。EUの役人は、ロシアがEUに弁済させようとしていると考えている。いずれにせよ、EUはウクライナのガス貯蔵庫が充填されるよう、最大限の努力を払うという。暖房シーズンまでに貯蔵庫には180~200億立法メートルのガスが必要だが、現時点で145億立法メートルしかない。
ロシア・エネルギー安全基金のコンスタンチン・シモノフ総裁は、「ウクライナ政府の選択肢は2つ。通過ガスの不法使用か厳しい需要制限。ウクライナが民主主義の勝利のために、どれだけ寒い冬を我慢するつもりなのかはわからない」と述べている。
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