エヴゲニー・プリマコフ氏=タス通信
クリミア
最初からクリミアの素地がポケットの中にあったと、多くの人が考えています。これは正しくありません。我々がウクライナ情勢を始めたわけではないのです。
情勢の最中で、クリミアがロシアに戻れるよう助力するというのが目標になりました。これには前提条件がありました。クリミアの住民の意思...その意思の実現を、ウクライナ政府が力づくで妨害し得る情勢がすでに始まっていました。
プーチン大統領はこの条件の下、軍使用の可能性の許可を要請したのです。
クレムリンの政策
クレムリンは政治的な正常化を目指して、非常に微妙な政策を実施しました。西側の指導者との電話会談、外務大臣の接触などは、形式的なものにすぎません。真剣な対話ですが、常にうまく進んだわけではありませんでした。
ウクライナが参加する小さな国際会合のすべてに我々は参加し、解決させようとしました。しかしながらウクライナの上層部がこれを阻止したのです。
ウクライナへのロシア軍投入の可能性
ロシアは究極の必要性が生じた場合の手段を確保しなければならなかったのです。ウクライナ南東部にロシア軍を投入するという目的は、設定されていませんでした。
ウクライナ政府はロシアが軍を投入しないことを知っていました。
投入していたら状況を行き詰らせたでしょう。それはウクライナの情勢だけではありません。アメリカがくり返しごり押ししている路線からの離脱傾向も終わりを迎えたでしょう。私はこの傾向を良い傾向と考えています。
ウクライナへの軍投入に対する許可を取り下げる決定を行ったことで、ロシアとの関係を正常化させたい西側の軍との結束も強化し続けることができます。
ロシアが軍を投入していたら、ウクライナ情勢も、維持しなければいけない西側との関係も、急激に悪化したでしょう。
国際関係発展の新たな段階
ウクライナ情勢が始まった時のロシアの動きを通じて、ロシアは国際関係発展の新たな段階に入りました。
冷戦後、2つのプロセスが同時に進行していました。
1つ目は客観的プロセスで、多極世界の実現です。
2つ目は主観的プロセスで、ソ連とワルシャワ条約機構が崩壊し、アメリカが最強になった時に始まりました。この主観的プロセスは、アメリカが支配者となっている一極世界の強要です。我々は常にこれに反対してきましたが、言葉で言うだけでした。
ロシアは今回、国家の利益が絡む課題をしっかりと解決できることを、初めて示しました。これは2つのプロセスの衝突につながりました。
ロシアの孤立
グローバル化する世界で、ロシアの孤立について話すのは無理があるでしょう。ロシアは他から孤立しないし、敵であっても、ロシアが他の国を孤立させることはありません。
我々は自国の経済的方向性を多様化しました。
マスメディアの役割
ウクライナ情勢に関する我々の報道は、いささか度を越したところがありました。まるでロシアが戦争に向かっているかのような論調になってしまいました。
今後のウクライナとの関係
ウクライナ政府との関係は相互利益にもとづきます。
主な基準となるのは、南東部の住民の利益を保護するという問題を、ウクライナ政府がいかに憲法で解決するかです。南東部の住人がロシア語を話し、ロシア的世界の一部だと考えていることを重んじる必要があります。
我々に必要なのは自立した隣人です。関税同盟を見てください。同盟国がロシアの指示を受けていますか?
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