ロイター通信
コメルサント紙は、キエフのロシア大使館が襲撃されてロシアとウクライナの対立が新たな段階へ移ったことを伝えている。同紙は、ロシアはその出来事に強い怒りを覚えたとし、「ウクライナ当局の無為無策やウクライナのアンドリー・デシチーツァ外相代行の振る舞いがロシアを憤らせた」と記しているが、事態がウクライナとの関係の断絶にまで至ることはなく、ロシア側からの制裁は十分に考えられる、とみなしている。
同紙は、また、出来事に対する西側の反応もロシアの憤りを呼び起こしたとし、「米国やEUの公的機関は襲撃を非難したものの、然るべき声明の採択を求める国連安保理におけるロシアの提案は、西側諸国によって退けられ、英国、米国、フランスがこれに反対した」と記している。同紙の専門家らは、ウクライナのアンドリー・デシチーツァ外相代行が口にした下品なチャストゥーシカが同氏の「白鳥の歌」となり、同氏はあと数週間で辞任する、とみなしており、同紙は、「まさにそれゆえ、同氏は、ペトロ・ポロシェンコ大統領のイメージと同大統領の和平調整プランを損なうそうした振る舞いをしている」と指摘している。同紙は、ポロシェンコ大統領の和平プランを妨害しようとする者たちがいる点を強調し、同紙の専門家は、「ガスに関する交渉の失敗から注意を逸らすことが襲撃の目的であった可能性もある」とみている。
独立新聞には、「ポロシェンコを脅かす新たなマイダン」という見出しの記事が掲載された。同紙は、土曜日のキエフのロシア大使館襲撃にまで発展した社会で高まる不満に対して、ポロシェンコ氏は、「決然と狙いを定めて行動する」ことを約束した、と記している。同紙によれば、社会的気運の転換は、ウクライナのイリューシン76型機がルハーンシク(ルガンスク)の空港へ着陸する際に撃墜されて軍人49人が死亡したことが明らかとなったときに訪れた。西側は、民兵らの行動を厳しく非難し、欧州理事会のヘルマン・ファン・ロンパウ議長は、「ウクライナ政府は、国内の秩序を回復する義務と責任を有している」と声明した。独立新聞の資料によれば、ウクライナの世論は、ペトロ・ポロシェンコ大統領が速やかな秩序と平和の回復を選挙公約に掲げた点を指摘した。
しかし、独立新聞は、ポロシェンコ大統領が、和平交渉に期待して速やかに秩序をもたらすと約束したものの、戦争支持派の立場と衝突して、状況の人質となった点を指摘している。同紙の資料によれば、ウクライナには、何らかの理由で戦闘行動の継続を目指すシロヴィキ(治安・国防関連省庁の幹部)のグループがあり、社会も、平和的に秩序を回復したい陣営と力づくで国土の浄化を図りたい陣営に二分され、同紙は、「ポロシェンコ氏がどう振る舞おうと同氏は新たなマイダンに脅かされうる」と結論づけている。同紙の専門家によれば、ウクライナの大統領には、「すべての者と交渉のテーブルについて経済の復興を優先するか」、シロヴィキの言うなりになって勝利するまで戦争を行おうとするか、という二者択一が求められている。
ヴズグリャード紙は、NATOはウクライナの国防部門の改革のために一括支援を行う意向であると伝えている。同紙は、NATOのアナス・フォー・ラスムセン事務総長の声明は、NATOの軍事インフラの考えられる接近に対するロシアの懸念を改めて裏づけるものである点を指摘している。このほか、同紙は、NATOが「ウクライナの国防能力の向上を促す」一括措置を用意していることを読者に伝えている。また、同紙は、アナス・フォー・ラスムセン氏が、ウクライナとの協力が「特殊な実際的方向性を有する、たとえば、ウクライナにNATOの軍事訓練へのアクセスを得させるものである」点を強調した、と記している。同紙は、NATOの事務総長の発言が、ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領の就任式後に状況がドネツィク(ドネツク)人民共和国の支持者たちにとって悪化していることに不安を抱く「ウクライナ南東部の民兵たちの懸念を裏づける」ものにすぎない点を指摘している。
ヴズグリャード紙は、西側諸国サイドからの軍事支援の約束が以前にも為された点を指摘しているが、同紙の専門家らは、現在のウクライナには武器の供給に対して支払うものがないとみなしている。
同紙の専門家は、ウクライナのシロヴィキは米国からのより大きな支援を何ら期待できないとし、同紙は、「アメリカは、ウクライナへ武器を供給するつもりはないとしており、ロシアとの直接の紛争へ踏み出すことはない」と結論づけている。
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