オデッサの惨事をめぐる新たな事実

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、5月7日午前、ウクライナの都市オデッサでの悲惨な事件に関与した民族過激主義者らの責任を厳しく糾弾した。同市での出来事については、連日ウクライナばかりでなくロシアのメディアでもさかんに取り上げられているが、次々と新たな詳細が現れてはいるものの、その真相は今も闇の中である。少なくとも46人が死亡した火災現場からの第一報は、その多くが一酸化炭素中毒で死亡したと伝えているが、その後、死亡者に対する銃火器や暴力の使用に関する情報が流れ、その数が増えはじめた。

 5月2日のオデッサでの出来事のおおよその流れは、多数のビデオや目撃者の証言やメディアの報道によって辿ることができる。

行先不明の行進

 日中、オデッサのソボールナヤ広場では、サッカークラブ「チェルノモレツ」(オデッサ)と「メタリスト」(ハリコフ)のファンたちが、両チームの試合が行われることになっていたスタジアム「チェルノモレツ」へ向かって行進することにした。ファンの多くは、ウクライナの国旗を手にしており、地元の一部の住民は、ファンの縦列を統一ウクライナの支持者の集会と思い、行進に合流した。

 他の説によれば、「統一ウクライナを目指す」行進は、あらかじめ組織されており、オデッサとハリコフのサッカーファンが、「ユーロマイダン」の活動家らに合流した。

 縦列は、行進を始めるやいなや、マスクを頭にかぶりバットや外傷銃を手にしたウクライナの連邦制の支持者のグループによって襲撃された。ある目撃者の話では、双方に銃火器があり、人数は「ユーロマイダン」側が数千人なのに対して連邦制の支持者らは300~400人で、後者は、ショッピングセンターへ逃げ込んで身を潜めることになった。警察は、「人間の鎖」で双方を隔てようとしたが、叶わなかった。

ビデオ:Віталій Уманець/YouTube.com

 この出来事において特別の役割を演じたのは、赤い肩章をつけた何者かで、おそらく、彼らが扇動者となった。そうした肩章は、「ユーロマイダン」側にも「アンチユーロマイダン」側にも警官の一部にも見られ、目撃者によれば、まさに赤い肩章をつけた人たちが、銃を発砲し、その後、労働組合会館の屋根から爆発物を投じたという。

 その結果、親ウクライナの活動家らは、「アンチマイダン」の活動家らの拠点があったクリコヴォ・ポーレ広場へ突入し、そこに火を放った。

 

労働組合会館の火災 

 現場にいた人たちによって撮影されたビデオは、労働組合会館の火災は連邦制の支持者たちの拠点が炎上した数分後に発生したことを物語っている。あるビデオには、建物の入り口付近と五階の窓で同時に出火した様子が映っている。

 出火の原因は、今も不明であり、調査官らは、爆発物か発炎筒によってプラスティック製の被覆が燃え上がったとみなしているが、どちらの側からそれが投じられたかは、今のところ明らかになっていない。

 消防隊は、火災が発生してから40分後にようやく現場に到着したが、建物内には、水も消火器もなかった。「ユーロマイダン」の活動家らは、終始、建物を包囲しており、インターネットフォーラムにおける目撃証言によれば、彼らが消火ホースを切断しため、消火活動は困難をきわめ、統一ウクライナの支持者の一部は、炎上する建物の窓へ向けて発砲していた。

ビデオ:Роман Хейсин/YouTube.com

 「ユーロマイダン」の活動家らは、自分の敵対者たち(自らオデッサ市民であると名乗った人たち)が炎に包まれた労働組合会館から逃れるのを助けていたが、その後、彼らを殴打し、ある資料によれば、数人が病院へ搬送され、その殴打によって死亡した人もいた。

 また、5月6日には、統一ウクライナの支持者らが棒やチェーンを持って労働組合会館に押し入る様子が撮影されたビデオが、インターネット上に現れた。

ビデオ:Паук Ананси/YouTube.com

死傷者

 公式筋、メディア、ブロガーは、それぞれ異なる死者の数を挙げている。オデッサ州検事局は、火災による死者は46人と発表し、ブロガーらは、217人と記し、オデッサのニュースサイト「タイメル」は、法保護機関の職員および法医学の専門家の話として116人が死亡したと報じている。

 また、公式資料によれば、全員が一酸化炭素で窒息死したが、「タイメル」は、6人は銃火器による負傷が原因で死亡したとの法医学の専門家の談話を伝えている。

 調査官らは建物の二階と三階で黒焦げの遺体を発見したが、火元は一階に集中しており、遺体が発見された複数の場所には燃焼の形跡がないという。ブロガーらが公表したビデオや写真に映っている一部の遺体には、銃火器による外傷が見られ、他の遺体は、目撃証言によれば建物内にはなかったはずの粉末消火器の粉をかぶっていた。

 ブロガーらが掲載した現場の写真からは、燃焼の形跡がまったくない場所で半分黒焦げになった遺体が発見されたことがわかる。

 人民代議員のウラジーミル・アリエフ氏は、労働組合会館にいた人たちは一酸化炭素ではなく館内に放出した塩素か何かの他の有毒ガスによって中毒死した、との見方を示し、ウクライナ副首相代行のヴィクトル・エリョーマ氏も、その説を裏づけるように5月3日のブリーフィングでこう述べている。「私は、現場にいて多数の遺体を目にしましたが、彼らは、突然、ばたばたと死亡していたようでした。つまり、何かの物質が燃えてガスを出し、そのガスが瞬く間に人体に作用し、彼らは意識を失って即死したのでしょう。いったいそれが何のガスで、どんな物質が燃えたのかは、今後の鑑定で明らかにされましょう」。

 5月2日のオデッサでの惨事に関する調査は、ひきつづき行われている。