山本一太沖縄・北方相=Getty Images/Fotobank撮影
日本の政治家が島の問題に関する公の発言を控えない場合は、今後その渡航を制限すると警告した。
南クリルと日本の間のビザなし交流は、両国の国民の相互理解を高め、ロシアと日本の平和条約締結の問題を解決するための政府間合意にもとづいて、1992年に始まった。以降、国後島、色丹島、択捉島、歯舞群島を訪れた日本人は、約1万9000人。
ロシア外務省のウェブサイトに26日に掲載された声明は、次の内容。「日本の政治家が、ロシアの領土を訪問した後に、何らかの理由で『島の問題』に関する公の発言を控えることができない場合、日本の政治家が今後このような訪問に参加することを制限する権利が留保される」。
ロシア側は、南クリル(南千島)ビザなし交流を、元島民を中心とした日本人が先祖の墓参りを行うことのできる民間の行事ととらえている、とも記載されている。「このような形式の交流は、両国民の間の信頼と相互理解の強化を目的としている。南クリル訪問後の政治的発言、特にロシアと日本の平和条約締結問題など、敏感な問題に関する発言は、不適切であり、この問題に関する協議を巡って穏やかな雰囲気を維持すると決めた両国の指導者の合意に反する」。
山本沖縄・北方相の今回の訪問は、日本の現役の閣僚としては8年ぶり。ビザなし交流には他の日本人とともに、普通の旅行者として参加していた。山本沖縄・北方相は、訪問後に北海道根室市で記者会見し、「領土返還を実現させなければいけないとの決意を新たにした」と述べた。
ロシア科学アカデミー極東研究所日本研究センターのヴィクトル・パヴリャテンコ上級研究員は、南クリル諸島あるいは北方領土の問題の悪化が、ロシアに対する国民的敵対の原因となることはないと考える。「これは国民的な問題ではない。何よりも政党をこえた政治的既成勢力の問題、内閣の問題、二国間の関係強化とは無関係な目的に応じて、いつでも使用できる政治的”引き金”だ」。
ロシア科学アカデミー極東研究所日本研究センターのワレリー・キスタノフ所長は、ウラジーミル・プーチン大統領の姿勢が日本側に期待を抱かせてしまったと考えている。「プーチン氏が大統領職に復帰してから、ロシアと日本の関係は改善した。だが日本には、日本側から和解の歩み寄りを示すことを、あまり望んでいない政治家がいるようだ」。
キスタノフ所長は、日本国民がそれほど島をめぐる問題に興味を持っていないと考える。「基本的に国民の大部分はこの問題に関心を持っていない。関心を持っているのはこの問題で名を上げたい政治家、そして高齢となった北海道に住む元島民。この問題についての日本におけるプロパガンダはとても強力で、マスメディアではキャンペーンが展開されており、誰も『北方領土』返還運動を変えようとしない」。日本の政治家はプーチン大統領が現状を変えてくれると期待している。「決定がロシア政府の最上部でしか行われないことを理解している。『安倍首相とプーチン大統領という強力なリーダーが政治的意思を見せるだろう』と、日本のマスコミでくり返されているのは偶然ではない。しかしながら、プーチンの『意志』をあまりにも楽観視しすぎていると思う。それは今回の言い合いがよく示している」。
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