ロシアはG20議長国であることを“有効活用”しているか

写真提供:G20 / Press Service

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米シンクタンクCenter for Global Interestsは、ロシアが議長国を務める9月のサンクトペテルブルクサミットを控えて、中間評価 報告書を発表し、G20の主要議題の問題点を指摘するとともに、議長国であることを“有効活用”するための提言を行った。

「具体的指針がない」 

 「今度はロシアがG20を操縦する番」と名付けられた報告書では、著者のマーク・メディシュとダニエル・ルシチの両氏は、準備段階から議論されてきた主要議題のいくつかをとりあげた。

 議題のなかには、国際通貨基金(IMF)における新興国の議決権を増やす改革案などが含まれているが、レポートの著者は、「具体的な目標がなく、サミットの遺産となるべきものについての計画がないこと」に懸念を表明した。

 もっともルシチ氏は、5月23日に、モスクワの国立経済高等学院でレポートを発表した際、「G20ができることに対する期待は非常に低い」と述べ、G20の正当性と有効性が疑問視されてきたと付け加えていたが。

 

当面見守るべき 

 とはいえ、報告書では、ロシアがG20の議題を決める際に主導権を握れるかどうかを見守らなければならない、と述べられている。ロシアは、「多くの点で国際舞台での立ち位置を探し ている新しい国」であり、国としてのアイデンティティの危機を体験しており、孤立主義に傾いている、とルシチとメディシュ両氏は言う。

「モスクワでは、アメリカや西側が『ロシアに失敗して欲しい』と思っている、という被害妄想がある」と著者は指摘し、クレムリンは、ロシア政府に 対する国民の募る不満を、ロシアの内政事情に干渉する西側のせいにしているとも述べた。そして、昨年5月、プーチン大統領がキャンプデービッドでのG8サミッ トを「特に理由も述べずにサボった」ことに言及。

「現在のロシアは、権威主義的で孤立に向う傾向を強めており、その“お国の事情”で、国の成長、繁栄の潜在力を過大評価している懸念がある」と、報告書は述べている。

 

「テストでもありチャンスでもある」 

 国際関係の専門家や投資家の一部は、ロシアの有名な政治家により頻繁に掲げられる、ロシアの成長の楽観的な見通しを警戒している。人口減少の問題、環境汚染、 石油とガスへの依存、経済におけるイノベーションの欠如、蔓延する汚職、裁判外の影響を受けやすい裁判制度、そして弱い銀 行システムが、ロシアの問題として挙げられている。

 しかし、報告書の著者は、G20の議長国を勤めることは、ロシアにとってテストでもあり、チャンスでもあると結論付け、「影響力を持ってい る問題に焦点を当てて」、気候変動、食料安全保障、貿易など各国共通の課題に、注意を向けさせることを勧める。

「2004年のロシアの歴史的な批准により、京都議定書は効力を持つようになった。ロシアが地球温暖化問題にG20で再び焦点を当てることはふさわしい」と報告 書は述べる。

 中国と米国に次ぎ、世界3番目のCO2排出国であるロシアは、地熱、水力、太陽光発電や風力発電での大幅な再生可能エネルギーの可能性を活用 し、比較的低コストで温室効果ガスの排出を大幅に減らすことができる。

 また著者は、穀物の大手輸出国でもあるロシアに対し、G20で食糧安全保障の問題を討議することも推奨している。

 一方、貿易については、WTO(世界貿易機関)に加盟したロシアは、多国間の協定に向けて進むのか、ベラルーシ、カザフスタンとの関税同盟のような、従来型の地域的解決策を追求し続 けるのか、選択するように促している。

 著名なエコノミストのセルゲイ・アレクサーシェンコ氏は、さらに率直な意見を吐いた。「オバマ大統領が欠席したり、G20の指導者の誰かが写真撮影に現れ るのを拒否したりといったスキャンダルが起きると、サミットは失敗になる。それ以外の全てのケースでは、サミットは成功したと見なされるべき だ」と彼は皮肉った。