=AFP/East News撮影
ロシア政府はこの親書に対して好意的な反応を示した。今回の特使派遣は、特別な歴史的任務を背負う大国であるロシアとアメリカが、細かい問題にとらわれることなく、世界的な課題を共に解決すべきであるという考えのもとで行われる。
オバマ大統領の一連の提案
アメリカ議会が「マグニツキー法案」を可決し、ロシアがこれに対する対抗措置として、ロシアにおける非営利団体の活動、アメリカ在住のロシア人に対する 裁判の関係者の行動、その他の問題を厳しく規制したことで、両国の関係はここ数年急速に悪化していた。
オバマ大統領の親書はこの問題について触れていない が、その代わり、具体的な一連の提案を行っている。中でもミサイル防衛分野における相互関係はロシアにとって重要だ。親書はこう提案している。「両国のプ ログラムが相互の抑止力への脅威とならないことを証明するための情報交換を含む、法的拘束力のある透明性に関する協定を作成する」。
またオバマ大統領自身の目標でもある軍備縮小についても、ロシアとアメリカは「将来的な自国の核兵器削減に関して枠組み合意することが可能」だと考えている。オバマ大統領はこの合意を今年中にも実現させたい考えだ。
また、「アメリカ副大統領とロシア首相」レベルの新たな協議の中で経済関係を強化することや、6月の北アイルランドの主要8ヶ国(G8)首脳会議前に「デジタル動画通信の保護伝送路」を始動させることも提案している。
注目はやはりミサイル防衛
ロシア側が注目すべき点はやはりミサイル防衛の項目だ。アメリカ議会の消息筋によると、「法的拘束力のある透明性に関する協定」とは、いわゆる行政協定 で、オバマ大統領はこれを実現するために議会の承認を得る必要がないのだという。行政協定の欠点は、署名を行った政権のみに義務づけられ、次の政権に拒否 する権利があることだ。つまりオバマ大統領の個人的な保証ということになる。
ロシアの外交筋は、オバマ大統領の提案の問題点を指摘する。行政協定によってロシアに伝えられたアメリカのミサイル防衛の技術特性が、ロシアの抑止力に 脅威となることが判明しても、これはあくまでも情報交換についての提案であるため、ロシアは異議を唱えることができないのだ。またこの外交筋は、ロシアは いずれにしても今後、長期的に法的拘束力のある保証を求め、透明性だけではなく、”非対象性”に関する協定の必要性も訴えて行くだろうと話す。
どのように進むかは別として、ロシアとアメリカは両国関係をとりまく負の空気を取り払いたいと思っているようだ。これは6月と9月の米露首脳会談に向けて作成されている、協定項目の規模の大きさでわかる。
*記事全文(露語)http://kommersant.ru/doc/2187951
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