議論を詰めるべき分野は他に3つある。農業と食品産業、医療機器と薬剤、そして都市化計 画と『スマート・シティ』の創設 =ロイター / Vostock Photo 通信撮影
会談は領土問題の話し合いや、北朝鮮情勢に関する意見交換が中心になるが、今のところこれらのテーマで画期的な進展がありそうには見えない。一方で、今後の経済関係は、どうやら大きく動きそうだ。
「日本はプーチン大統領と安倍首相の間に信頼関係が生まれることを期待している。そうなれば、もっとも難しい問題も解決できる可能性がある」と、ロシア科学アカデミー極東研究所日本研究センターのワレリー・キスタノフ所長は話す。
ガスだけではない
また、ロシアからの液化天然ガスの輸出に関する話し合いは、必ず行われると考えている。だが両国の経済協力関係を深めるのは、ガスだけではない。
ロシアNIS貿易会モスクワ事務所の中居孝文所長はこう話す。「議論を詰めるべき分野は他に3つある。農業と食品産業、医療機器と薬剤、そして都市化計 画と『スマート・シティ』の創設。日本は小麦の輸入に関心を持っていて、条件のそろったアムール州で栽培したものが見込まれている。輸出については、ロシ アで日本食の人気が高いため、米や調味料から海藻や海産食品にいたるまで、さまざまな食品を納入することが計画されている」。
農業、食品、医療、都市計画・・・
日本側は薬剤製造機器や医療機器のロシアへの輸出を希望している。
また、行政に都市化技術をアピールすることも計画している。これらは野村総合研究所が取り組む。
同研究所モスクワ支店の大橋巌氏はこう話す。「当社の幹部が、モスクワの生活条件の改善および州の発展の計画について検討し、ロシアの専門家と協力していくことになるだろう。例えば、モスクワ近郊の新たな産業インフラについてなどだ。当社が計画を作成し、日本側から投資をつのる考えだ」。
日本人専門家らはすでに何年も、モスクワの渋滞問題を解決しようと、市政府に協力している。特に鳩山元首相の息子である鳩山紀一郎氏は、交通量の最適化計画を作成した。
安倍首相は訪問する際、文化センター正式認定合意書への署名も行うようだ。日本外務省は、この書類によって、ロシアや日本の文化センターの仕事の幅が広がり、さまざまな講義の聴講生の数が増え、両国の交流活動が活発化すると考えている。
安倍首相の訪露には、経済視察団が同行する。視察団には、日立、東芝、オリンパス、住友重機工業、IHI、三菱、三井、キッコーマン、日清、味の素、北海道銀行などの企業の代表らが含まれている。
*引用記事
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